2018 Fiscal Year Annual Research Report
Concept of scalp care in patients with chemotherapy-induced alopecia
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16K20749
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 奈緒 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (80636788)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 化学療法 / 脱毛 / スカルプケア |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の目的は「明らかとなったスカルプケアに必要な要素を基に、スカルプケアのコンセプトを立案し、臨床において、そのコンセプトを検証する。」であった。前年度の研究結果より、スカルプケアのコンセプトとして以下の2点を挙げた:①痛みや痒みの原因となる発赤や発疹を軽減するするための頭皮に優しい素材を使用したウィッグの使用、②頭皮の生理機能を正常化のための頭皮ケアの提供。 平成30年度は、①のコンセプトに対して、頭皮に優しい医療用ウィッグ導入というケア介入を実施した。研究目的は、新たな低刺激型医療用ウィッグ使用における、頭皮の皮膚障害や生理機能に対する効果を明らかにすることとした。研究デザインは前向き無作為化非盲検試験であり、都内の総合病院に通院している乳癌罹患成人女性を対象とした。プライマリエンドポイントは頭皮の皮膚トラブルと症状とし、セカンダエンドポイントは頭皮生理機能(経皮水分蒸散量とpH)、QOLとした。調査時期は鉱山治療開始時と治療の中間時点(最も頭皮の症状が出現しやすい時期)とした。65名の対象者をリクルートし、解析対象は介入群23名、対照群(従来型ウィッグ)27名となった。両群の患者概要に有意差はなかった。頭皮の症状に両群で有意差を認めなかったが、頭皮の紅斑は介入群で有意に低下し(p<0.01)、発疹やびらんの発生も少なかった。一方、頭皮生理機能(TEWL、pH)、QOLに両群の差は認めなかった。以上より、低刺激型医療用ウィッグは、裏地にシルクプロテイン素材を使用することで、柔らかくなめらかな肌触りを実現し、そのために頭皮とウィッグの摩擦が軽減され、紅斑の低減につながった可能性が考えられた。今後は頭皮生理機能の保持に対するケア介入を実施することで脱毛時の更なる症状緩和に繋がることが期待される。
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Research Products
(1 results)