2016 Fiscal Year Research-status Report
閉経前に診断された子宮がん治療後の倦怠感マネジメントに関する基礎的研究
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16K20754
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小濱 京子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (40749082)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 子宮がん / 倦怠感 / 症状マネジメント / 身体活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は閉経前の子宮がん女性を対象に、がん治療に伴う倦怠感とその関連要因について明らかにすることを目的とした基礎調査である。倦怠感と周辺症状、またその関連要因について明らかになることで、今後はがん治療に伴う倦怠感を有する子宮がんの女性、とくに生殖・就労年齢にある女性に適応可能な症状マネジメントプログラムの開発につながることが期待される。 本年は調査の第一段階として、文献レビューを実施した結果、倦怠感の関連症状である不安・抑うつと、性・生殖機能の変化に注目した。閉経前の子宮がん女性では、高齢でがん治療を受ける女性と比較して、子宮・卵巣摘出による更年期様症状や、性機能の変化に対する否定的な認知が不安・抑うつを増強させ、倦怠感の症状の改善を妨げる可能性がある。しかし、国内では性・生殖面の研究や看護実践は十分に蓄積されていない。 そこで、調査に使用する性機能に関する尺度を検討する段階で、英国のサイコセクシュアルセラピストに助言を求めるとともに、日本国内ではケアが十分になされていない性生殖機能の身体的・認知的ケアについて、具体的な英国での実践状況をインタビューした。 一方で、本年予定していた調査の実施は、熊本地震の影響を受け、研究施設・調査対象者の確保が困難となったことから遅延している状況である。現在、病院施設での調査実施を準備するとともに、関連症状の尺度と身体活動の測定方法についても検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年4月14・16日に熊本地震が発災して以降、一時的な避難のため、また数週間にわたり熊本市内での研究活動が実施困難となったことに加え、熊本市内の病院施設では一部で診察不可能となるような甚大な被害を受けたことから、地域の医療体制が一時混乱し、数か月にわたって調査実施を見送る必要が生じた。また予定していた病院施設への調査依頼は極めて困難であった。また、大学の教育体制の再構築、学生への心理支援のための面接の実施、震災支援のための業務に充てる時間を確保することが必要となり、予定していたエフォートを研究調査に充てることが困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
速やかに病院施設での調査を開始できるよう以下の通り体制を整えていく。 1.調査対象施設を拡大するとともに、必要な調査対象数を確保するため、外来で実践活動をしている専門看護師を中心に研究協力を求めていく 2.調査対象者への面接によるデータ収集をとりやめ、アンケート調査の一部に自由記述を含めるなどし、必要なデータを収集するなどの対応が必要である 3.当初予定していたがん治療後1カ月後と3カ月後の縦断研究の間隔を検討する
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Causes of Carryover |
熊本地震の影響を受けて研究にかける予定であったエフォートの調整が困難となり、調査開始が遅れている。具体的には、データ収集に必要な身体活動量計の購入に多くの予算を計上しており、その購入が次年度に延期となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にデータ収集に必要な物品購入を予定している。また調査開始後のデータ収集にかかる費用がすべて次年度に持ち越された。本年度予定していた統計の専門家への謝金も次年度に支出予定である。また新たに、研究協力を求める必要性が生じ、謝金・人件費として計上予定である。調査開始後には国際学会へ結果報告を予定しており、本年度は実施できなかったため次年度に実施する。
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