2016 Fiscal Year Research-status Report
外来化学療法を受ける再発乳がん患者の多重症状の緩和に向けた看護プログラムの開発
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16K20775
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
浅海 くるみ 東邦大学, 看護学部, 非常勤研究生 (90735367)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 外来化学療法 / 転移再発乳がん / 多重症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、分子標的治療薬などの新規抗がん剤の開発により、再発や転移を来した乳がん患者への治療効果は著しく改善している。しかし、手術適応とならない転移再発乳がんへの化学療法の目的は、根治ではなく、症状緩和やQuality of Life (QOL)の改善であることが多く、治療・療養環境は、初発の乳がん患者と比べて、過酷であることが考えられる。一方、化学療法を受ける転移再発乳がん患者は、がんの進行に起因した身体症状に加え、抗がん剤の副作用が同時多発的に発生することで、多重的な身体・心理的苦痛を抱える(Dodd, et al, 2001)。また外来化学療法を受ける患者は、療養の主体が自宅となるため、それらの問題に個別で対処しなければならず、外来看護師から副作用への対処・予防方法に関する患者教育を受けている。しかし、患者が、多岐に渡る症状の対処・予防方法を身に付けることは相当のストレスであることは明らかであり、適切に対処できないと、全身状態の悪化、QOLの低下を来す。 しかしながら、どのような多重症状に焦点を当て、個別の看護ケアを提供していくことが有効であるかという点について十分に検討されていない。そこで、本研究の目的は、外来化学療法を受ける転移再発乳がん患者の多重症状の緩和を目指す看護プログラムを開発することとした。 具体的な実施計画は、『外来化学療法を受ける転移再発乳がん患者の多重症状の緩和に向けた看護プログラム(案)』を作成し、作成した『外来化学療法を受ける転移再発乳がん患者の多重症状の緩和に向けた看護プログラム(案)』を対象患者に試行し、その効果を検討することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在まで、本プログラム作成のための予備調査で得た結果から、プログラムを構成する要素の抽出に時間を要した。そのため、具体的なプログラム作成への着手が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、現在までに抽出したプログラムの構成要素の洗練および、プログラムの中身や運用方法を具体化することを目的に、外来化学療法室で勤務する看護師を対象とした個別のインタビュー調査を実施する。このインタビュー調査では、外来化学療法を継続している転移再発乳がん患者に生じる多重症状の緩和に向けた看護実践について明らかとなる半構造化面接を実施し、その分析結果に基づき、プログラムを作成する。既に、このインタビュー調査は、倫理審査委員会での承認を受けており、調査を開始する段階である。 平成30年度は、作成したプログラムの効果を検討するため、対象患者にプログラムを試行する。
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Causes of Carryover |
今年度は、体調不良により、予定していた国際学会および国内学会に参加することができなかったため、旅費および学会参加費等を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的には、申請した計画書に基づいて、助成金を使用する。その他、プログラムの作成および具体的な運用方法を考案するため、情報収集および自身の研究成果の発表を目的に、今年度参加することが困難であった国内外の学会への参加費および旅費に使用する予定である。
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