2017 Fiscal Year Research-status Report
重症意思表示困難患者のcueの理解による身体ニーズアセスメント尺度の開発
Project/Area Number |
16K20776
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
山田 奈津子 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (60759140)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | cue / 概念分析 / 概念開発 / オントロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「cue」という意思表示の困難な重症患者が他者へ意思やケアのニーズを伝えるために意識的、無意識的に発する合図の理解を活用し、身体ニーズをアセスメントする尺度を開発することである。 今年度は、cueの概念分析に基づき、患者と看護師のをインタビューから重症患者のニーズの構造化をし、アセスメント尺度を開発することを計画とした。Cueの概念分析のため、文献レビューからcueとその同義語であるサインや兆候との関連性の明確化を図った。しかし、Beth L.Rodgers の提唱した概念分析法を証明した「Concept Development in Nursing」の原書の日本語翻訳がない。さらに、概念分析手法を活用した論文8件を検討した結果、方法論的根拠や有効性が不明確であった。そのためアセスメント尺度の開発のため、cueの科学性を示すには概念分析手法の検討と看護師の思考プロセスであるアセスメントを構造化する方法の再検討が必要となった。看護診断は系統的用語を使用し、新たな知識獲得の促進のため看護オントロジーによって構築された。オントロジーは人工知能の1つで、概念を提供する体系化された辞書である。cueによるアセスメントはオントロジーによるcueのアセスメントの概念の体系や概念の階層構造化を図り、cueによるアセスメントを構造化することが可能である。オントロジーによって科学的にcueを明示化していくため、人工知能と教育工学を専門とする研究者1名と看護学を専門とする質的研究者2名による研究体制を整えた。そして概念体系化する方法論の妥当性を含めた検討を行う遠隔会議を2週間に1回のペースで実施し、概念分析の方法とオントロジ―を用いた概念体系の構築はほぼ終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の研究計画は、cueの概念分析に基づき、患者と看護師のインタビューデータを合わせて重症患者のニーズの構造化をし、アセスメント尺度を開発することであった。研究の進捗が遅れているのは、cueの概念分析の方法論の妥当性について検証された文献がなく、原書と論文にて検証を行っているためである。また、cueを科学的に捉え、cueによるアセスメントを構造化し、より有効なアセスメント尺度を開発するためには、概念分析と人工知能であるオントロジーを用いたcueによるアセスメントの概念体系と階層化を行う必要があった。アセスメント尺度開発のため概念分析方法の再検討、オントロジーの活用の必要性の検討を行ったことで当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
アセスメント尺度開発までの今年度の取り組みとして、cueのアセスメントをオントロジーにて体系化する。そのために専門看護師のネットワークを活用し、事例分析を行い、cueのアセスメントをモデル化し正当性を検討する。それを基に患者と看護師によるインタビューデータを集積し、モデル化の検証を行う。そのため、平成30年度8月までに倫理委員会の承認手続き及び研究対象者の依頼を行い、参加観察とインタビューを開始できるように実施する。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度において、概念分析方法の検討と研究手法の検討に時間を費やし、データ収集に予算をかけることができなかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)遠隔会議やフィールドを含めたデータ収集、整理のため、および学会発表、論文化のために使用する。
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