2017 Fiscal Year Research-status Report
分子標的薬を内服する高齢肺がん患者のアドヒアランスを高める看護プログラムの開発
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16K20782
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
府川 晃子 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (30508578)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 化学療法 / 高齢者 / 肺がん / 分子標的薬 / 経口抗がん薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
実際に外来で経口分子標的薬治療を受けている肺がん高齢患者が治療へのアドヒアランスを高める自己管理の過程や、効果的な看護支援を明らかにするためのインタビュー調査と分析を行った。その結果、肺がん高齢患者は自己管理をするために以下のプロセスをたどっていた。患者は告知を受け治療が開始されると【がんとの共存の受け入れ】をし、同時に【がんにとらわれない自分なりの生活のしかたの維持】を心がけていた。そして、【最後まで自分らしい生き方の再検討】を開始し、これに基づき【生活の中に治療を取り込む試行錯誤】と【どこまで頑張って治療を続けるかの基準づくり】のサイクルが形作られ、効果と副作用を見定めた上で自分らしい生活を探索していた。看護師は、患者がより良い生き方について考え、QOLを高める方法を探索できるように援助し、患者・医療者間で治療目的が共有できるよう支援する必要があることが示唆された。 この結果をもとに「分子標的薬を内服する肺がん高齢患者のQOLを保つための自己管理支援プログラム」を作成し、洗練化するため、肺がん高齢患者や外来で化学療法を受ける患者のケアに精通した看護師11名を対象にグループインタビューを行った。インタビューの結果に基づき、介入時期を変更し、対象は入院で治療を開始してその後外来に移行した患者に限定するなどの修正を加えた。また、看護師がプログラムを実施するための手引きとして作成していた看護実践ガイドについて、文章を簡潔なものにするなどの修正を行った。患者と看護師が情報を共有しやすいよう、患者が自身の考えや体験を振り返ることのできる患者用ハンドブックを作成した。修正後のプログラムについて、同じ対象者に内容の適切性と有用性の視点で質問紙調査を行い、適切に洗練化されたかを確認した結果、プログラムの回数や介入時期、構成要素は適切であり、患者の支援に役立つという意見がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度については、研究目的は順調に達成されている。インタビュー調査と結果の分析が完了し、支援プログラムの作成と洗練化が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
プログラムを洗練化し、看護実践ガイドや患者用ハンドブックに具体的なケア方法に関する情報を追加することで、病棟や外来で患者に関わるジェネラリストが支援をする際にも必要な内容を網羅することができた。一方で情報量が増し、簡便に内容を把握することが難しくなった。今回の対象者はがん看護専門看護師などのスペシャリストや、肺がん患者や化学療法に携わる経験の豊かな看護師であったが、本プログラムが実践の場でジェネラリストが活用する際にも適切で使いやすい内容であるかを確かめるため、今後は病棟や外来の看護師からの意見も収集し、資料に盛り込む情報の必要性を確かめて内容を洗練するなど、検討を進める必要があると考えられる。 また、対象者からは「良い内容のプログラムだし、内服や高齢者でなくても使えるのではと思ってしまう」などの意見もみられた。臨床での実感として支援を必要としている患者は幅広く、より多くの対象者に適用できる支援プログラムが求められている。現段階で本プログラムを全てのがん種、年代、治療内容に対して一般化することは難しく、さらなる内容の検討と洗練化が必要であるが、活用の対象を広げていけるよう研究を進めていく必要がある。さらに今後は、実践の場でプログラムを活用する一般の看護師にとっても、より活用しやすい内容になるよう、病棟や外来の看護師からも意見も収集し、更に内容を検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
プログラム開発に関する内容を2018年9月にニュージーランドで開催されるICCN(International Conference on Cancer Nursing)に発表予定であり、2017年度の予算を翻訳費用の一部にあてる予定であった。現在発表内容を整理中のため、翻訳を依頼する時期も2018年度に延期されている。
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Research Products
(5 results)