2018 Fiscal Year Research-status Report
保育器で過ごす子どもと母親の間の心理的距離に関する看護師評価尺度の開発
Project/Area Number |
16K20795
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
天草 百合江 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10757545)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保育器 / 心理的距離 / 低出生体重児 / 母親 / NICU |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、保育器で過ごす子どもと母親の間の心理的距離に関して、母親・NICU看護師双方の認識とその関連要因を明らかにするとともに、NICU看護師が母子の心理的距離をアセスメントする際に有効な尺度の開発をすることを目的としている。保育器で過ごす子どもと母親が、NICU看護師から適切なアセスメントをもとに看護援助を受けることができるだけではなく、NICU看護師にとってはアセスメントの視点や適切な看護援助を考え実践することから、教育的意義も期待できると考える。 そこで、NICU、低出生体重児における最新の動向、NICUで行われている看護師や臨床心理士による家族援助、低出生体重児を出産した母親やその家族のNICU入院中・退院後の思いなど、尺度開発に向けての文献検討を引き続き行った。退院支援に関する文献は多くあるものの、子どもの入院初期に焦点を当てた研究、保育器期間中に焦点を当てた研究はほとんどなかった。また、親子関係形成に関する文献検討の結果と同様、NICU入院期間全体に焦点を当てた研究はあるものの、保育器に注目して行われた研究はほとんどなかった。 NICUの環境や子どもの治療環境への衝撃、子どもが保育器で治療を受けることでの分離は、低出生体重児を出産した母親の心理的危機を助長するものであり、そのときの関わりがその後の親子関係に影響を及ぼすため、入院初期や保育器で治療を受ける急性期における看護援助の必要性が再認識できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、保育器で過ごす子どもと母親の心理的距離について、保育器で過ごした子どもの母親自身の捉え方や思いとNICU看護師の認識や母子への思いを明らかにしたのち、母親版尺度を作成し、信頼性と妥当性を検討する。その後、母親版尺度から看護師版尺度を作成し、その信頼性と妥当性を評価するという流れである。その中で、平成30年度は、保育器で過ごす子どもと母親の心理的距離について、前年度に実施できなかった保育器で過ごした子どもの母親自身の捉え方や思いを明らかにし、それをもとにNICU看護師の認識や思いを明らかにする予定であった。 しかし、先行研究から保育器で過ごす子どもとの心理的距離に関する母親自身の思いや捉え方を明らかにすること、研究の方向性や研究方法を検討するために、文献検討を引き続き行ったことにより、当初の予定まで進めることができなかったので「遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで研究者が実施した母親への調査をもとに、文献検討の結果を踏まえて尺度項目の検討を行う。また、NICU看護のエキスパートである新生児集中ケア認定看護師へのアンケート調査を行い、看護師側の意見も反映して、尺度作成を行っていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成30年度は、母親を対象とした調査、NICU看護師を対象とした調査を予定していたため、調査にかかる旅費、謝礼、データ入力などの費用を計上していたが、詳細な文献検討の実施のみとなり、調査は次年度に持ち越しとなったため、未使用額が発生した。 (使用計画) 未使用額は母親及びNICU看護師を対象とした調査の費用に使用する。
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