サービス付き高齢者向け住宅における看取りの質評価指標の開発

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K20825
• Research Institution: Yokohama City University
• Principal Investigator: 杉本 健太郎 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80724939)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 看取り / サービス付き高齢者向け住宅 / 質 / 評価

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、「サービス付き高齢者向け住宅」における質の高い看取りの要素・概念を明らかにするとともに（目的1）、同住宅における看取りの質を評価するための指標を開発すること（目的2）を目的としている。
平成28年度は、主に、看取りの質評価に関する先行研究レビューを行った。国内外の文献を医中誌、CINAHL、PubMedなどを用いてレビューしたところ、2000年代から研究が増加してきている状況が見受けられた。高齢者施設の看取りの質評価に関しては、主に、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、Nursing homeなどでの看取りに焦点があてられており、その下位概念として、施設・設備に関する要因（マニュアルの有無、ユニットケア対応の有無等）、看取りに向けた体制づくり（事前意思の確認、職員間・他機関との連携）、ケア要因（身体・心理状況等のアセスメント、苦痛の緩和、グリーフケア等）などが挙げられていた。
これらの要素の多くは在宅での看取りの質評価の下位項目にも共通していたが、在宅看取りでは、家族介護者の介護負担感の軽減や療養者本人が住み慣れた地域において楽しみを経験できることなどの要素が含まれていることが特徴的だった。
今後は、本レビューで整理された高齢者施設・在宅での看取りの質を構成する要素をもとに、サービス付き高齢者向け住宅における質の高い看取りの下位概念案を検討していく。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度計画していた文献レビューについて計画通り実施したものの、公表にまで至らなかった。また、計画段階では評価指標案作成のための半構造化面接インタビューガイドを作成することとしていたが、レビューの結果、サ高住以外の高齢者施設・在宅での看取りの質の下位概念に関する知見は近年集積され始めていることが明らかになった。そのため、半構造化面接ではなく、レビューで得られた知見から評価指標原案を作成し、それに対する職員等の意見を収集するというプロセスで研究を進めることも検討している。

Strategy for Future Research Activity

今後は、文献レビューで整理された質の高い看取りの要素をもとに、サービス付き高齢者向け住宅職員等に対して、半構造的面接調査もしくは評価指標原案の作成・当該原案に対する意見収集を行う。そのプロセスによって、評価指標案の洗練・修正を行う。

Causes of Carryover

計画していた視察を行わなかったこと、研究成果の公表まで至らなかったことから、次年度使用額が生じた（国外旅費、投稿費用等）。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今年度の残額と次年度配分予定の研究費は、主に視察、インタビュー・郵送調査（調査旅費、謝金、印刷代、郵送代等）、データ分析ソフトの購入、得られた知見の公表（学会発表等）のために使用する。