2016 Fiscal Year Research-status Report
うつ病休職者を対象とした就労継続支援モデルの開発と評価
Project/Area Number |
16K20844
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
大江 真人 同志社女子大学, 看護学部, 助教 (60756253)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 気分障害 / 復職 / 就業継続 / 休職 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、気分障害による復職から就業継続を支援するための基礎資料を得ることを目的に、気分障害による休職を体験した人の「復職から就業継続における対処行動」を明らかにした。気分障害を理由とする休職・退職後に復職し、6ヵ月以上就労継続している研究参加者6名(男性4名、女性2名、年齢30~50歳代)を対象とし、半構造化面接(1名につき1回、60分程度)を実施し、データ収集を行った。データを質的記述的に分析した結果、研究参加者は、休職に至るまでの経験の意味づけを行い、復職に向けたスキルの獲得、復職のタイミングの見極めにより『復職の準備状態を高め』ていた。また、体調を感じる力を高める、病気であることを周囲に隠さない、考えを行動に移すという行動をとりながら、回復への希望を抱き続けることにより『病気との付き合い方を定め』ていた。さらに、経済面の重視により就労意欲を高めること、仕事内容のこだわりを軽減すること、体調が安定しないことに気を向け過ぎず、就労継続に集中した行動をとることで『就労継続することを重視』していた。そして、継続可能な職業・業務の選択や業務内容のポジティブな面を見出すこと、仲間や同病者の存在や助言を力に変えること、自ら働きやすい職場環境をつくるような働きかけにより、『就労継続につながる環境づくり』を行っていた。 研究参加者は、自己および環境の双方の課題に着目し、状況の洞察や認知の修正、環境の改善などを主体的に実施していた。このような、就労への適応のための自己や環境をコントロールする力を支援することが重要であることが明らかとなり、復職・就業継続を目指す気分障害者の就業継続支援モデルの開発への示唆を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の対象者の選定条件に該当するケースが少なく、研究参加者との調整に時間を要した。今後は、5名前後を研究参加者に追加し、調査を行う予定としている。当初は、2016年度中にデータ収集を終える計画としていたため、やや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、気分障害による休職を体験した人の「復職から就業継続における対処行動」について、2017年度に新たに収集する新たなデータを追加して分析を継続し、研究結果の発表、就業継続支援モデルの開発を行う。また、就業継続支援モデルの実践に向けて、研究フィールドの拡大のための調整を行う。
|
Causes of Carryover |
当初の予定よりもデータ収集のスケジュールが遅れており、旅費での支出が支出予定額を下回ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に行うデータ収集、学会発表等の旅費とする予定である。
|