2018 Fiscal Year Research-status Report
うつ病休職者を対象とした就労継続支援モデルの開発と評価
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16K20844
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Research Institution | Takarazuka University |
Principal Investigator |
大江 真人 宝塚大学, 看護学部, 講師 (60756253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気分障害 / 休業 / 復職 / 就業継続 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、気分障害による復職から就労継続を支援するための基礎資料を得ることを目的に気分障害による休職後に6ヶ月以上就労継続しているケースのデータより、気分障害による休業後に復職・就労継続している労働者のレジリエンスをGrotbergが提唱する「I Have(環境要因)」、「I Am(個人内要因)」、「I can(獲得要因)」の3つの構成要素の視点から分析した。その結果、気分障害における研究参加者は「I Have」では、【病気の苦悩を理解しあえる仲間がいる】ことや【病気を持つ自分を受け入れてくれる職場がある】ことを認識することで自分自身の環境の肯定的な面を見出し、就労継続に役立つ力を得ていたことが明らかになった。また「I Am」では、【病気を持ちながら生活することを受け入れ】、【病気からの回復への希望がある】という元来から研究参加者が持っていたと考えられる個人内要因を活用していた。さらに「I Can」では、病気体験や就労継続する過程において獲得した【病気の経過で得た体調を感じる力】を活用しながら,【復職に必要な準備ができる】ようになっていた。そして、【病気を持っていても継続しやすい仕事を見極めることができる】ことや【仕事の負荷がかからないことを優先することができる】という力により【体調を優先した仕事への向き合い方ができる】、【就労継続を重視することができる】という就労継続に重要な仕事に向き合う力を獲得していた。就労継続支援モデルの開発においては、昨年度明らかにした「対処行動」と本年度明らかにした「レジリエンス」を活用する予定である。今後は、本年度に行った「国内におけるうつ病患者を対象としたレジリエンス研究の方向性」に関する文献検討の結果も考慮しながら就労継続支援モデルの開発を進めるとともに、モデル実施に関する研究フィールドの調整、実施および評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年度中に予定していた追加のデータ収集は調整ができず、データ収集は終了とした。その後、気分障害による休業・復職・就業継続における「対処行動」と「レジリエンス」に関する研究成果のまとめに時間を要した。そのため、就労継続支援プログラムの開発および実施・評価ができていないため、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
「対処行動」と「レジリエンス」を活用した就労継続支援モデルの開発は、精神看護学分野の研究者および実践者と意見交換を行いながら進める。同時に、就労継続支援モデルを実施に協力いただける研究参加者、医療機関等との調整を進める。
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Causes of Carryover |
研究の実施(データ収集の調整、研究フィールドとの調整)が実施できず、データ処理費用や交通費での使用額が少なくなった。今後の使用計画は、データ収集および処理、論文作成費用とする予定にしている。
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