2019 Fiscal Year Research-status Report
在日外国人の精神的健康とストレス対処行動に関する研究
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16K20852
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
増田 郁美 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80771667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 在日外国人 / 技能実習生 / メンタルヘルス / 精神的健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、先行研究から在日外国人が抱える精神的健康に関する問題と要因について明らかになっていることをまとめ、研究計画の実現可能性を検証しつつ、より計画を具体的なものにすることを目的とし、文献レビューを行った。在日外国人のメンタルヘルスを悪化させるリスクとして共通している要因は、主に「日本語能力の低さ」、「文化変容ストレス(異文化適応ストレス)」「ソーシャルサポートが希薄」、「職場での対人関係」、「仕事の量、質」であった。尺度は、GHQ(精神的健康度)、CES-D(抑うつ尺度)が頻用されていた。そこから仮説を導き、具体的な研究デザインについて検討し、研究計画の見直しを行った。また、関係機関へのインタビューを行い、浜松市における実態調査を実施した。 文献レビューから、在日外国人のうち、近年増加している技能実習生についての研究が少ないことがわかり、さらに仮説として滞在年数が短く、単身である技能実習生は、文化変容ストレスの影響により、抑うつ状態となりやすいこと、日本人との交流の少なさ、日本語能力の低さが、技能実習生の精神的健康度を低下させること、地域社会とのつながりは技能実習生のメンタルヘルスに影響することなどが導かれた。2019年4月には入管法の改正に伴い、新しい在留資格が創設され、今後もより多くの技能実習生が日本に滞在することが予測される。そのため、対象を技能実習生に絞り、アンケート調査に協力いただける機関に依頼をし、内諾を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は文献レビューを行い、研究計画を再考し、より具体的かつ実現可能なものにすることを予定しており、ほぼ予定通りの進捗であった。しかしながら上述の理由により仕切り直しをし、今年度は質的研究を行うとの結論に達した。そのため、研究計画の再考が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に内諾をいただいていた関係機関より4月にお断りの連絡を受け、さらに新型コロナウイルス感染症の影響により新たに他機関にてアンケート調査を行うことも困難な状況となった。そこで、当初予定していた量的研究は本調査として2021年度に行うこととし、2020年度は翌年の研究につながるような事前調査としての位置づけで、インタビュー調査に切り替える予定である。 2019年4~5月に静岡県浜松市の技能実習生の監理団体と打ち合わせを重ね、概ね研究を進められる予定である。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行が収束していない現時点でのメンタルヘルス調査は、結果が新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けることが危惧された。そのため、テーマを在日外国人の新型コロナウイルス感染症状況下におけるメンタルヘルスに関する研究に変更を検討している。
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Causes of Carryover |
2019年度はボイスレコーダーなどの備品の購入を予定していたが、使用する機会がないと判断し、次年度に繰り越すこととしたため。次年度は、ボイスレコーダー、消耗品費、旅費、文献複写費等に使用する予定である。
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