2017 Fiscal Year Research-status Report
特定妊婦の子ども虐待を予防するための多職種連携に基づく子育て支援モデルの開発
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16K20853
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内村 利恵 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (80634295)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 虐待予防 / 特定妊婦 / 保健師 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、研究全体の第2段階と位置付け取り組んだ。2016年度に実施した保健機関(市町村母子保健主管課等)の保健師を対象とした半構成的個別面接調査のデータ分析に加え、保健師が特定妊婦を支援する上で、連携が不可欠な専門職を対象とした半構成的個別面接調査を実施した。調査対象者は、医療機関等(総合/地域周産期母子医療センター他)の専門職で、職種は助産師、看護師、医療ソーシャルワーカーであった。 特定妊婦の特徴として、若年や精神疾患の合併、DV被害、経済的問題を抱えていることなど、妊婦やパートナーならびに養育環境の様々な要因が抽出された。特定妊婦の子ども虐待を予防するための多職種連携に基づく支援において有効な方法として、「特定妊婦の判断基準の設定」などが抽出された。さらに、「専門職間の定期的な会議や交流の場を設定」し、顔の見える関係を築く必要があることや、医療機関の支援には限界があり、地域の「保健師と連携を図りサポート体制を整える」ことや「周産期における医療機関と保健機関の連携会議の開催」が抽出され、専門職同士の個人レベルだけでなく、組織間ネットワークに基づく医療機関と保健機関の連携会議の開催による顔の見える関係の構築、特定妊婦の継続的な支援に向けたサポート体制の構築により、子ども虐待の未然防止につなげていることが示唆された。 今後予定している無記名自記式質問紙調査に向け、関連文献の検討を行い、これまでの調査結果を踏まえ、質問紙(案)の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた保健機関および医療機関の専門職を対象とした半構成的個別面接調査を進めたが、再度の文献検討や調査を実施ならびにデータ分析する過程で、当初計画していなかった新たな対象者への調査を検討し、調整の結果、2018年度に実施できる見込みとなった。したがって、データの分析が完了しておらず、質問紙(案)の完成に至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、半構成的個別面接調査およびデータ分析を並行しながら進めていく予定である。加えて、特定妊婦の子ども虐待を予防するための多職種連携の実態や有効な要因・成果について明らかにするために、無記名自記式質問紙調査を予定しており、作成した質問紙(案)は研究課題の目的をより精緻に達成するため、専門的知識の提供を受ける予定である。
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Causes of Carryover |
2017年度に予定していた半構成的個別面接調査の一部を実施できておらず、調査実施に係る経費(旅費・宿泊費・逐語録作成他)の一部を執行していない。これらの調査は、2018年度初旬に実施を予定している。また、データの分析を進めている段階のため、専門的知識の提供に係る謝金の執行は、2018年度に延期した。 2018年度は、無記名自記式質問紙調査の実施に向け、印刷料や郵送料、データ入力補助のための人件費、データ分析のために使用するソフトウェアなどの執行を予定している。
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