2017 Fiscal Year Research-status Report

家族の介護を担う労働者の勤務継続の支援に関する研究

Research Project

Project/Area Number	16K20857
Research Institution	The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing
Principal Investigator	田邉綾子日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 助教 (80765272)
Project Period (FY)	2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords	産業看護 / 介護離職
Outline of Annual Research Achievements	わが国では、2025年には5人に1人が後期高齢者となり、家族の介護等を理由に離職する人は年間約10万人にも上ると推計されている。家族の介護は、今後、労働者の多くが直面するであろう社会的な課題であると言える。しかしながら、家族の介護を担う労働者が離職を選択するに至った経過や、介護をしながら仕事を継続するための支援については、現在のところ、十分に検討されているとは言えない。そのため、本研究は、親の介護を理由に離職に至った本人の思いを明らかにし、産業保健専門職が行う支援について検討することを目的に取り組んでいる。今年度は、直近5年以内に親の介護を理由に離職した経験のある65歳未満の介護者2名にインタビュー調査を行った。また、昨年度、インタビュー調査を行った3事例を1事例ごとに質的統合法（KJ法）を用いて分析した。その一部は、地域看護学会にて発表した。分析の結果、離職を選択した対象者は、基本的な物事に対する捉え方や優先順位の決め方といった基盤となる考え方を持っていた。それに加え、離職を決断しやすいタイミングや状況、柔軟性のない職場環境などが重なり、離職の選択に至っていた。現在、質的統合法を用いて1事例ずつ分析を行っている途中である。事例ごとの分析を全て終えた後に、5事例を統合した分析を改めて行い、親の介護を理由に離職した人の離職を選択するに至った経過や本人の思いを明らかにし、産業保健専門職が行う支援について検討する予定である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 当初の予定では、今年度中に、親の介護を理由に離職した人へのインタビュー結果を整理・分析し、来年度は統合分析をすることとしていた。しかし、昨年度、思うように対象者を見つけることができず、今年度もインタビュー調査に時間を費やさなければならなかったことから、インタビュー結果の整理・分析が、当初の予定よりやや遅れている状況である。来年度は、収集したデータを整理・分析し、調査結果をまとめる予定である。
Strategy for Future Research Activity	今年度までに収集したインタビュー調査のデータを整理・分析し、親の介護を理由に離職した人の離職を選択するに至った経過や本人の思いを明らかにし、産業保健専門職が行う支援について検討する予定である。その際、日本赤十字九州国際看護大学の小林裕美教授や宮崎大学医学部看護学科の鶴田来美教授に、適宜コンサルテーションを求め、円滑に研究が行えるようにする。
Causes of Carryover	インタビュー調査の対象者を見つけることが非常に難しく、予定より少ない人数となった。また、対象者を見つけることが困難であったことに伴い、研究の進捗がやや遅れ、予定よりも研究成果を発表することができていないために、旅費や人件費等を当初の計画通りに使用することができなかった。来年度は、収集したデータを整理・分析し、研究結果をまとめる予定である。そのため、データ整理のための人件費や研究成果発表に伴う旅費や投稿費として使用する予定である。