2017 Fiscal Year Research-status Report
育児環境が児の社会的スキルの発達および学校適応に及ぼす影響―5年間の縦断的調査―
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16K20858
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
細川 陸也 名古屋市立大学, 看護学部, 助教 (70735464)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児期 / 学童期 / 育児環境 / 社会的スキル / 学校適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の不登校,いじめなどの学校不適応の増加の背景として,子どもの社会的スキルの未発達が指摘されている。社会的スキルとは,社会適応に必要な社会性を具体的行動として示したものである。本研究の目的は,社会的スキルの発達および学校適応に影響を及ぼす,幼児期から学童期にかけての育児環境の特徴を明らかにすることである。 調査は,名古屋市内130施設の保育所・幼稚園に在籍する調査同意の得られた3,314名の児を対象に,幼児期(5歳児)から小学4年生(9歳)にかけての5年間の縦断調査[2014-2018年]を実施する(本科研は,2016-2018年の研究費に使用する)。調査方法は,児とその養育者に対し,育児環境,社会的スキル,学校適応に関する自記式質問紙調査を毎年1回実施する。2017年度までに,5歳(年長児:2014年),6歳(小学1年生:2015年),7歳(小学2年生:2016年),8歳(小学3年生:2017年)の時点で計4回の追跡調査を実施し,育児環境が社会的スキルの発達および学童期の社会適応に影響を及ぼす影響を検証している。 本研究の意義は,幼児期から学童期にかけて経年的に社会的スキルの発達および学校適応に影響する育児環境の特徴を明らかすることにより,学校不適応を未然に防止するために,どの時期に,どの対象に,どのような育児環境が必要かといった具体的な育児支援の根拠として活用することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの調査の進捗状況は,以下の通りであり,概ね計画通りに進展している。 [第1回調査:2014年]名古屋市内130施設の幼稚園・保育所に所属する5歳(年長児)5,024名を対象に調査を実施し,3,314名より調 査の同意および調査票の有効回答を得た(有効回答率66.0%)。対象属性は,男児1,682名/女児1,632名,両親家庭3,012名/ひとり親家庭302名,幼稚園1,891名/保育所1,423名であった。[第2回調査:2015年]転居等で追跡不可となった47名を除く名古屋市内在住の6歳(小学1年生)3,267名を対象に調査を実施し,1,712名の有効回答を得た(有効回答率52.4%)。[第3回調査:2016年]名古屋市内在住の7歳(小学2年生)1,712名を対象に調査を実施し,949名の有効回答を得た(有効回答率55.4%)。[第4回調査:2017年]名古屋市内在住の8歳(小学3年生)949名を対象に調査を実施し,716名の有効回答を得た(有効回答率75.4%)。 上記の調査結果を解析し,研究成果を論文投稿や学会発表を通じて報告した[2017年度の主な研究成果:幼児期における両親の関係性と社会的スキルの発達との関連,幼児期の社会経済的状況が学童期の社会適応に及ぼす影響,学童期の携帯情報端末の使用と問題行動との関連,幼児期の養育態度が学童期の社会適応に及ぼす影響]。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,研究計画の通り,5歳(年長児:2014年),6歳(小学1年生:2015年),7歳(小学2年生:2016年),8歳(小学3年生:2017年)の調査が完了し,2018年度は9歳(小学4年生:2018年)時点での追跡調査を実施予定である。年々,追跡率の低下がみられたため,2017年度は,調査報告会を通じて研究成果の報告と今後の調査協力の呼びかけを行い,追跡率の低下をやや軽減した。今後も,研究対象者への調査報告や講演会等をより充実し,追跡率の維持に配慮しながら調査を継続する。
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Research Products
(4 results)