2020 Fiscal Year Research-status Report
地域包括支援センター保健師等の事例分析の視点を用いた高齢者見守り活動モデルの構築
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16K20860
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Research Institution | Yokkaichi Nursing and Medical Care University |
Principal Investigator |
多次 淳一郎 四日市看護医療大学, 看護医療学部, 講師 (60632205)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域包括支援センター / 保健師 / 高齢者 / 見守り |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的・意義】日常生活圏域の高齢者福祉保健活動の拠点である地域包括支援センターの看護職が日頃把握している多くの事例を通して、高齢者の見守り活動で地域包括に繋いでほしい高齢者の状態像の明確化を図り、その視点を地区役員などの住民と共有することを通じて、効果的な高齢者見守りの仕組みの構築を試みること 【研究計画の全体像】全体計画は3つの研究で構成。各研究は、①地域包括の看護職が地域住民からの情報提供で把握した事例を収集・分析し、繋ぐタイミングが遅いと判断された事例の特徴を明らかにする、②①の結果を踏まえ、地域住民が地域包括に繋ぐ必要性の判断指標を地域包括の看護職への調査を通じて明確にする、③②で作成した指標を用いて地域住民(主に民生委員)を対象とした研修を実施し、見守り活動への有用性を検討する、ことである。 【これまでの実績】文献検討をふまえ①を実施した。大都市部の地域包括の看護職を対象に、地域住民からの情報提供で把握した高齢者事例を収集し、その分析を通じて、繋ぐタイミングが遅れた事例の特徴として、「かかりつけ医がいない」、「口腔状態が悪い」の2点が挙げられた。このことから視覚的な見守りだけでは不十分であり、意図的な質問や観察の重要性が示唆された。この結果を踏まえ、②③へとつなげていく計画を立てていたが、研究者の体調不良と新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、現時点では②質問紙調査の作成・実施準備までとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、2020年度は計画最終年度として地域包括支援センター(以下、地域包括)の保健師等を対象に、地域住民(特に民生委員等の地域福祉保健活動に関与する人々)が高齢者の見守りにおいて、地域包括へつなぐことが適切と考える高齢者の状態像を明確にするための質問紙調査を実施予定であった。 しかし、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、調査を予定していた地域でも地域福祉活動が停止・停滞し、また地域包括も日常業務がひっ迫したことで調査実施が困難な状況となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度、高齢者のワクチン接種の目途がつく8月以降に当初、2020年度に予定していた最終の調査を実施する。 また今回の新型コロナウイルス感染症の流行は実際の見守り活動を行う地区役員等の活動にも大きく影響を及ぼしており、本研究の当初計画していた見守りモデルの構築自体が当面の間、あるいは中長期的に難しくなると考えられる。 これらの状況を勘案し、今後の社会活動の変化を念頭に、その状況下で活用可能な見守り体制構築につなげる観点から、コロナの状況をふまえ可能な場合は研究計画を一部変更し、民生委員を対象としてにコロナ禍下での見守り活動で生じた困難や実施した工夫の実態調査を行う予定である。この2つの調査結果を統合して、今後の新たな見守り活動のあり方を探索する次の研究計画立案につなげていく。
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Causes of Carryover |
2020年4月以降の新型コロナウイルス感染症の流行に、地域包括の業務も大きく影響を受け、計画していた調査を実施できなかった。そのため調査実施にかかる実費(人件費、その他)の支出が生じなかった。 2021年度は2020年度に予定していた調査を実施可能な規模を検討しつつ、実施し、分析を行う。また可能であれば今回のコロナ禍が地域の見守り活動の主な担い手である民生委員の活動にどのような影響を及ぼしたかについても調査を実施し、ポストコロナの時代の見守り活動のあり方を検討していく基礎資料を収集する。
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