2016 Fiscal Year Research-status Report
対応困難な結核患者の生活実態と治療継続支援体制の検討
Project/Area Number |
16K20861
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安本 理抄 大阪府立大学, 看護学研究科, 助教 (00733833)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結核患者 / 診断時の思い |
Outline of Annual Research Achievements |
結核は、我が国において1年間に約2万人が新たに発症し、約2千人が死亡する、過去の病気ではなく現在も重大な問題である。特に、60歳以上が占める割合は約7割を超え高齢者の結核発病割合が高い。不安定な生活環境から受診が遅れ、重症化してから医療にかかり、治療ルートにのりにくく脱落し失敗の経過をたどりやすい傾向がある。これの層に対する結核対策は十分とは言えず、従来の方法では限界があり喫急にとりくむべき課題である。本研究では、社会的不利な状況にある生活困窮者の結核罹患率及び治療継続環境の改善を図るため、対応困難な結核患者の生活実態について探り、早期受診や結核治療継続できる支援体制を検討する。 2016年度は、社会的不利な状況にある生活困窮者の早期受診に結びつく要因及び治療継続に必要な支援体制を検討するため、国内外における文献から、結核患者の特性および服薬中断リスクに関して最新の情報を収集し、日本結核病学会等に参加して最新の知見を得た。また、所属大学研究倫理委員会の審査を経て、結核治療終了者3名を対象に、診断前の生活状況や受診のきっかけについてインタビュー調査を行った。 インタビュー調査の結果から、結核患者は、結核診断により急遽入院することを迫られ、気が動転し、入院により家族の生活が脅かされることや友人や職場の同僚・上司に感染させてしまったかもしれない不安を感じていたことが分かった。一方で、感染源と決めつけられる不満や副作用により治療が思うように進まないことに焦りを感じていたことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビュー調査については予定どおり実施することができた。また、研究テーマに関連する学会(日本結核病学会)や研修会に参加し、最新の知見について知識を深め継続的に情報を得ることができた。しかし、文献検討と合わせて過去の結核患者支援困難事例について集約ができていないため、次年度以降の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究において以下の計画で進めていく。 1.結核治療終了者のインタビュー調査内容について分析を進めていく。 2.データの分析過程において、内容の妥当性を図るため、逐次指導者及び大学教員に解釈の確認を求めスーパーヴァイズを受ける。 3.本研究において得られた成果について、学術学会や学会誌への投稿にて発表し、広く意見・評価を得る。
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Causes of Carryover |
国内外における文献から、対応困難な結核患者の特性および服薬中断リスク、事例のまとめが遅れた。また、インタビュー調査の結果の分析が遅れているため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内外における文献収集や困難事例のまとめにかかる物品費や最新の知見を得るための関連学会等への参加費用等に使用する。
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