2018 Fiscal Year Research-status Report
対応困難な結核患者の生活実態と治療継続支援体制の検討
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16K20861
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安本 理抄 大阪府立大学, 看護学研究科, 助教 (00733833)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 結核患者 / 保健師 / 生活支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
結核は、我が国において1年間に約2万人が新たに発症し、約2千人が死亡する、過去の病気ではなく現在も重大な問題である。特に、60歳以上が占める割合は約7割を超え高齢者の結核発病割合が高い。不安定な生活環境から受診が遅れ、重症化してから医療にかかり、治療ルートにのりにくく脱落し失敗の経過をたどりやすい傾向がある。これの層に対する結核対策は十分とは言えず、従来の方法では限界があり喫急にとりくむべき課題である。本研究では、社会的不利な状況にある生活困窮者の結核罹患率及び治療継続環境の改善を図るため、対応困難な結核患者の生活実態について探り、早期受診や結核治療継続できる支援体制を検討する。 2018年度は、全国529か所の保健所に研究協力の依頼を行い、結核患者支援を行う保健師を対象に尺度原案修正案42項目について自己記入式質問紙調査を行った。再テストは、1 回目の回答から2~4 週間後に2 回目の質問紙に回答し、郵送により回収した。調査協力の意向があった599名のうち、調査票の回収は363名(回収率60.6%)、有効回答320名(有効回答率53.4%)を分析した。尺度原案修正案42項目の統計的分析、探索的因子分析により、8項目2下位尺度を考案した。また、Ajzen の計画的行動理論で構築した因果モデルを用いて、保健師の結核患者支援行動の関連を検討した。関連要因の検討において保健師は、結核患者支援経験の蓄積や地域の社会資源を把握していることで、服薬確認だけでなく結核患者の生活状況を把握し療養環境を整えようと思い、結核患者支援行動につながっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結核患者支援を行う保健所保健師を対象に行った自己記入式質問紙調査の回答を363名から協力が得られ、320名を分析した。年齢、保健師経験年数など属性、結核患者支援に関する研修会の参加経験、事例検討会の実施など支援体制について単純集計を行った。探索的因子分析を行い、保健師の結核患者支援行動尺度項目を考案した。一定の信頼性(内的一貫性、安定性)、基準関連妥当性、構成概念妥当性を備えた尺度であることを確認した。また、保健師が行う結核患者支援行動に影響する要因について分析した。研究テーマに関連する学会(日本結核病学会、日本地域看護学会)や研修会に参加し最新の知見について知識を深めた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本研究において以下の計画で進めていく。 ①保健所保健師が行う結核患者支援の内容について調査の結果をまとめる。 ②本研究において得られた成果について研究協力機関や協力者に報告する。 ③学術学会や学会誌への投稿にて発表し、広く意見・評価を得る。
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Research Products
(1 results)