2017 Fiscal Year Research-status Report
北海道東部沿岸に生息するゼニガタアザラシの個体群パラメ-タ及び個体数の推定
Project/Area Number |
16K20883
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 由美 北海道大学, 農学研究院, 研究員 (30634737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 長寿命 / 個体識別 / 哺乳類 / ゼニガタアザラシ / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道東部の大黒島で,これまでに個体識別したゼニガタアザラシ88頭について,1970年代以降に実施された観察記録を解析した.88頭のうち52頭が15年間以上観察され,そのうち6頭が30年間以上観察された.最初に観察された時の推定年齢から,最高齢のメス個体は37歳以上,オス個体は33歳から35歳と推定された.老齢個体では,体色が白くなる傾向が見られ,これは他の哺乳類(例えばヒトなど)同様,加齢によるものと推察された.成獣の多くが高い定着性を示した.例えば,最終確認時の年齢が20歳以上と推定された34個体のうち22頭(65%)は,過去9年間に実施された調査で,観察年の全てで大黒島への上陸が観察された.また,大黒島生まれで,分散せずにそのまま大黒島に留まり,主要な上陸場とした個体も3個体確認された. 同一個体が観察年によって,頭部が赤くなったり(レッドヘッド),赤みが消えたりすることが観察された.レッドヘッドは,換毛の後見られなかくなったことから,生得的なものではなく二次的なもので,採餌場所により付着したものと推察された. ゼニガタアザラシは,通常,出産・育子期(5-6月)はメスとその子が,そして換毛期(7-8月)にオスも含めて齢や性に限らず上陸個体数が最大になるといわれているが,調査地の大黒島では,出産・育子期から数十頭のオス成獣が見られ,出産・育子期と換毛期の観察個体数に大きな差は見られなかった.海洋環境変化(地球温暖化)による行動の変化や移動・交流があるロシア海域における近年の開発の影響といった可能性が推察された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,予定していたよりもゼニガタアザラシの観察個体数が多く,個体識別が進んでいない.また,調査時期に天候不良(台風の接近)により,調査ができなかった期間があった.
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Strategy for Future Research Activity |
出産・育子期(5-6月)と換毛期(7-8月)のゼニガタアザラシセンサスに参加する.既存のゼニガタアザラシデータベースの改良を行い,効果的にゼニガタアザラシの個体識別システム構築を模索する.ゼニガタアザラシの個体群パラメータを算出する.
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Causes of Carryover |
天候不良により,実施できなかった調査があった.あらためて調査実施予定である.
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Research Products
(5 results)