2019 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of population parameters and population of harbor seals in the eastern Hokkaido
Project/Area Number |
16K20883
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 由美 北海道大学, 農学研究院, 研究員 (30634737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 野生動物管理 / ゼニガタアザラシ / 個体数 / トレンド / 海生哺乳類 / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本に定着する唯一の鰭脚類であるゼニガタアザラシについて,北海道東部における本種の上陸場において,過去から現在までの個体数の推移をまとめた.上陸個体数には,調査日,潮位,時刻などの共変量が強く影響しており,また,観察されるゼニガタアザラシ個体数には,観測誤差が含まれる.これらのことから,個体数調査では1週間の調査期間中,悪天候時を除き干潮前後の毎日少なくとも4時間以上,30分毎に上陸および遊泳個体数をカウントし,その最大数を個体数として定義した. 2019年現在の道東一体においては,ゼニガタアザラシの上陸場は計11か所であった.加えて,地域住民への聞き取り調査などから,季節的に利用されている上陸場(岩礁)が数か所報告されたが,これらの詳細な状況は不明であった. ゼニガタアザラシが1970年代までに激減した最大の原因である狩猟は,1984年を最後に確認されておらず,この40年間で個体数は年平均3-5%前後で増加し,2008年の1,089頭が最大であった.一般に,諸外国ではゼニガタアザラシ個体群の年平均増加率は7-11%程度であることが知られているが,それらと比べると北海道全体および道東の各上陸場の増加率は低かった.これは,混獲の影響によるものと考えられた.さらには,道東では,2010年頃からゼニガタアザラシ個体数は少なくとも増加していないことが明らかになった.具体的には,個体数調整が行われているえりも地域を除いての年平均増加率は,-1~2%程度であった.近年の海洋環境変動の影響を受けて餌資源が減少していること,および北方四島地域の開発がすすんでいることにより,新生子から亜成獣クラスの生存率が減少している可能性が示唆された.
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