2016 Fiscal Year Research-status Report
The development of a stroke sequelae patient simulator and its educational effects on medical students
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16K20890
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小林 只 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (10736391)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 寝たきり / シミュレータ / 教育 / 介護事故 / 骨折 / 介護士 / 脳卒中 / 脳卒中後遺症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本で急増している脳卒中後遺症による「寝たきり高齢者」に対する適切な介護技術を習得するためのoff the job training用のシミュレータ開発:①脳卒中後遺症患者のモデル・シミュレーターの開発(平成28年度)、②寝たきり高齢者の疑似体験システムの開発(平成29年度)を行い、またこれを用いた教育効果の検証を目指す。 平成28年度は「片麻痺・関節拘縮シミュレーター・モデルの開発」に主に取り組んだ。具体的には、平成28年4月~10月に、既成品の介護シミュレータに外固定(シーネなど)を施し簡易的な関節拘縮状態の仮想モデルを作成した。これらの知見を元にして、平成28年10月より、A社と共同で新規の「骨折などの介護事故を防ぐために関節への過負荷を検出する装置」を組み込んだシミュレータ開発を企画し始めた。第一段階として、寝たきり拘縮状態の患者のおむつ交換時のトラブル(例:各関節部への負荷で生じる骨折)を防ぐために、既存の介護シミュレータを一部改造し、股関節・膝関節・足関節の拘縮状態を再現し、過剰な介護動作で骨折を訓練者に知らせる仕組みを備えた「右股関節・膝関節・足関節部の拘縮シミュレータの開発」に着手した。平成28年11月に関節機構などの基本的設計方針が決定した。平成28年12月には3D部品データの作成に取り掛かった。平成29年3月より角度および圧制御センサーの設計と試作機作成(3D試作)を開始した。 今後の予定としては、平成29年度4月より金属部品の外作と内作を開始し、6月より試作機の組み立てを行う。実際の使用感を確認した上で、8月の製品完成を予定している。9月より開発シミュレータを活用した介護動作教育研究を開始し、平成29年度中の論文化を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年4月時点では、①脳卒中後遺症患者のモデル・シミュレーターの開発と教育検証(平成28年度)、②寝たきり高齢者の疑似体験システムの開発と教育検証(平成29年度)を予定していた。以下、3点の研究計画の軽微な変更のもと研究開発を行った。 1)①シミュレータの開発は、当初より企業と提携開発予定であったが、外固定のみによる簡易シミュレータを想定していた。しかし、平成28年9月の時点で、外固定のみによる簡易シミュレータは安定した教育手法の提供には困難さがあり、また教育研究を企画する上の再現性の担保の課題が表出された。そのため、滑車や固定機構の新規開発による内固定式のシミュレータの開発を目指し、A社と特注・開発することになった。 2)平成28年4月時点では、上半身と下半身の拘縮状態による半身麻痺拘縮モデルの開発を目指していたが、平成28年10月より具体的に開始した内固定式のシミュレータ開発の作業工数および研究予算の制限もあり、上下肢を同時に進めるのは困難であった。そのため、社会的価値がより高い下半身モデル(オムツ交換などの介助動作により発生する大腿骨頸部骨折を予防するためのシミュレータ)を優先した。 3)平成28年4月時点では、平成28年度中に①シミュレータの開発と教育検証を終了する予定だった。上記1)2)の理由により、①シミュレータの開発は「やや遅れている」状況である。しかしながら、企画当初よりも非常に高精度かつ高い教育効果が期待されるシミュレータ開発が着実に進行しており、その教育効果検証が期待できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては、①脳卒中後遺症患者のモデル・シミュレーターの開発、②寝たきり高齢者の疑似体験システムの開発、のうち①のシミュレータ完成と教育効果検証の完遂を目指す。具体的には、平成29年度4月より金属部品の外作と内作を開始し、6月より試作機の組み立てを行う。実際の使用感を確認した上で、8月の製品完成を予定している。9月より開発シミュレータを活用した介護動作教育研究を開始し、平成29年度中の論文化を目指す。 ②シミュレータ開発に関しては、同様の目的を叶えるための類似製品を別企業が開発中であり、平成29年度中の販売開始を予定しているとの、非確証的な情報を入手している。平成29年度中に、情報整理と関連企業との具体的交渉を進めながら、その類似製品を既製品として購入し、必要に応じて部分開発を加え、平成28年度4月当初の目標である「脳卒中後遺症による寝たきり高齢者の疑似体験システム」の教育効果検証を目指し計画を再構築していく。 以上の状況から、平成29年4月1日現在においては、①シミュレータの開発と教育効果検証を優先し進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年4月の研究開始当初は、①脳卒中後遺症患者のモデル・シミュレーターの開発、②寝たきり高齢者の疑似体験システムの開発の2種類のシミュレータ開発を予定していたが、前述の通り、①の開発スケジュールがやや遅れたため。 物品費・その他:平成28年4月の研究開始当初の計画では平成28年度に既製品シミュレータを購入し、部分開発を行う予定だった。しかし、平成28年度4月~9月で進めた予備研究および実践の結果、既製品を元にした新規シミュレータ開発をA社と着手することになった。従って、平成28年度には既製品を購入せず、平成29年夏に開発した新規シミュレータを物品として購入する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費:平成28年度に購入予定であったシミュレータ既製品の分を含めて、平成29年夏に我々が新規に開発したシミュレータを物品として購入する予定である(平成29年3月31日時点、約150万円:現在の開発工数や材料費などで変動予定)。平成28年度の物品請求額を平成29年度に繰越して使用する予定である。 この物品費のため、旅費、謝金・人件費、その他の費用は使用目的を一部変更予定であるが、概要としては次の通りに使用予定である。旅費:平成29年度に試作機の現場検証実施、学会発表を予定。謝金・人件費:平成29年度に実施予定の研究参加者への謝礼等にも使用予定である。その他:平成29年度に使用予定に学術発表・論文投稿料などと合わせて使用予定である。
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