2017 Fiscal Year Research-status Report
生活時間情報に基づく地域・季節特性を考慮したワーク・ライフ・バランスの実証的研究
Project/Area Number |
16K20894
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
栗原 由紀子 立命館大学, 経済学部, 准教授 (30610589)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 生活時間調査 / GIS分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,(1)WEBベースによる第3回ワーク・ライフ・バランス調査を実施し,本研究計画のすべてのWEB調査を終えるとともに,(2)統計法第33条による調査票情報利用の申請を行い,調査票情報の提供を受けてデータ・エディティングを進めてきた。 (1)前年度の秋季・冬季調査に加えて,夏季にもWEBによるワーク・ライフ・バランス調査を実施することで,3つの季節におけるワーク・ライフ・バランスの差異の補足を試みた。まず,WEB調査による回答の信頼性を確認するために,回答時間の長さや調査項目間の回答の整合性を検証した。また,WEB調査では予算制約から30分おきの行動種類について,最大3項目を回答する方式を採用したことから,15分おきに1項目を回答する社会生活基本調査との統計量の比較のための分析方法の検討を進めてきた。 (2)統計法第33条に基づいて,社会生活基本調査(7調査),家計調査(約350調査),および全国消費実態調査(7調査)の調査票情報利用の申請を行い,これらすべての調査票情報の提供を受けた。提供されたデータを統計ソフトで利用できるようにインポートし,また統一的な変数名の付与等を行った。また,調査は昭和60年前後からの長期時系列ミクロデータであることから,時点により異なる調査項目の区分や自治体の統合・合併による変化などを時点間で統一するためのデータ・エディティングを進めてきた。さらに,2016年度社会生活基本調査と2016年秋季のWEB調査の基本統計量を比較することで,異なる調査間の属性の相違を捕捉し,WEB調査データの補正手法についての検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究には,政府統計の調査票情報の利用が不可欠であり,統計法第33条のもとで調査票情報利用の申請を行っていたが,申請から審査,調査票情報の提供までに半年以上の期間を要している。このため,分析用パネルデータの作成が計画よりも遅れており,ワーク・ライフ・バランスの季節性・地域性の分析が先延ばしとなっている。平成30年度の年度初め時点ではパネルデータの完成を目指し,本研究の主目的であるワーク・ライフ・バランスの分析を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,(1)政府統計の調査票情報を用いたワーク・ライフ・バランス分析,および(2)WEB調査と政府統計・調査票情報との融合利用によるワーク・ライフ・バランスの地域・季節性を捉えるための分析を進める予定である。 (1)提供された調査票情報のパネルデータ化を迅速に進め,昭和60年前後からの長期時系列地域別データにより,生活時間と家計消費との関係,およびそれらの変遷などを解明していく。 (2)WEBによる生活時間調査のサンプルセレクションバイアスを政府統計ミクロデータにより補正することで,ワーク・ライフ・バランスの季節性・地域性を捕捉する研究を進める。これにより,保育や子育て,および仕事や家事に関連する時間と,それらに関連する家計消費とのトレード・オフ関係を解明し,同時に,それらの地域差や季節変動を踏まえることで,自治体が取り組むべき施策の多様性を提示することが可能となる。
|
Causes of Carryover |
理由: 政府統計の調査票情報利用の申請・受理が遅れたために研究が滞り,研究報告のための旅費の使用がなかったため,次年度使用額が生じた。
使用計画: 翌年度分としては,研究を迅速に進め,旅費や物品費などに使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)