2019 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research on Work-life Balance Based on Regional and Seasonal Differences in Time Use Information
Project/Area Number |
16K20894
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
栗原 由紀子 立命館大学, 経済学部, 准教授 (30610589)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生活時間分析 / Web調査 / サンプルセレクションバイアス / 社会生活基本調査 / 全国消費実態調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,以下の3点について研究を遂行してきた。 (1)Webベースの生活時間調査を実施し,地域差や季節性をふまえた生活時間分析を試みた。その際,Web調査に起因するサンプルセレクションバイアスを平成28年社会生活基本調査の調査票情報を用いて補正しつつ回帰分析を行った。その結果,有業女性の家事時間については地域性に有意差が観測され,休養くつろぎ時間では地域性と季節性に有意差が観測されるなど,ワーク・ライフ・バランスの改善や充実には地域性のみならず季節的な生活様式の相違を考慮して国民の働き方やサポート体制などを整備する必要があることなどが示唆された。 (2)1986年以降の30年間という長期的視点から生活時間の変遷を捉えるために,社会生活基本調査の調査票情報を用いて,マルチレベルモデルにより地域間の分散を観測しつつ,夫や妻の家事時間などの規定要因を捕捉した。その結果,妻の家事時間では地域差が観測され,30年間で次第にその差が縮小傾向にあること,また,1996年までは妻の家事時間が長い世帯ほど夫の休養関連時間が長い傾向にあったが,近年は妻の家事時間との関連がみられないなど,経年的な生活様式の変化が示された。 (3)社会生活基本調査と全国消費実態調査の調査票情報を用いて,生活時間と消費支出の情報を併せ持つ地域別パネルデータを作成し,消費支出が生活時間に与える影響を明らかにした。その結果,消費支出に占める食料費割合が高い世帯ほど妻の家事時間が長い傾向にあり,金銭的に余裕がない世帯の妻は時間的にも余裕のない状態にあること,また,習い事などへの支出割合が相対的に高い世帯の妻は育児頻度が高い傾向にあり,家庭内教育における金銭的投入と時間的投入の双方が同時に行われている様子が捉えられた。すなわち,消費支出の自由度が,ワーク・ライフ・バランスのみならず,家庭内教育の格差にも作用する可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)