2016 Fiscal Year Research-status Report
CNTの力学・電気・熱的特性制御のためのナノ構造制御ガイドラインの構築
Project/Area Number |
16K20904
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白須 圭一 東北大学, 工学研究科, 助教 (20757679)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 結晶性 / 超高温アニール処理 / 線膨張係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1.熱CVD法を用いてシリコン基板に垂直に配向成長させた多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の合成を行った.アセチレン流量,アルゴン流量および圧力を合成パラメータに設定し,走査型電子顕微鏡,透過型電子顕微鏡およびラマン分光分析装置を用いてMWCNTの直径および結晶性に関する幾何学的形状モデリングを行った.上記のガス流量および圧力を変化させることでアセチレンのモル濃度を制御しており,アセチレンモル濃度とMWCNTの直径および結晶性との相関関係を明らかにすることができた.また,上記の方法で合成したMWCNTを巻取り機を用いてシート状に巻き取ることで,一方向配向MWCNTシートを作製した.このMWCNTシートをアルゴンガス雰囲気中で超高温アニール処理(2400℃,2900℃)を行うことにより,結晶性の飛躍的な向上が達成された.
研究2.MWCNT軸方向の線膨張係数を評価する目的で,一方向配向MWCNTシートを用いた配向MWCNT/エポキシ複合材料のMWCNT配向方向の線膨張係数を測定するための線膨張係数評価装置の開発を行った.具体的には,シリカゲルで相対湿度を10%以下に調整したグローブボックス内にペルチェ素子を用いた冷却装置とホットプレートを重ねて設置することで,―10℃から100℃付近までの複合材料を加熱,冷却することが可能となった.また,複合材料の加熱および冷却時に,複合材料の側面からレーザー変位計を用いて複合材料の熱膨張量の測定を行うようにした.上記の測定装置を用いることで,複合材料のMWCNT配向方向の線膨張係数を測定できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画に対して,研究実績の概要で記載した成果を挙げることができており,おおむね順調に進展していると判断している.特に,配向MWCNTシートに対して超高温アニール処理に成功し期待通りの結晶性制御が行えたことは,次年度の研究計画内容に対して有用な結果であった.
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の研究計画に沿った研究が展開できているので,今後も申請課題の検討を推進する予定である.特に,MWCNT単体の引張試験による強度特性評価については,統計的データを得るに十分な試験数を行うのに多くの時間を要するため,重点を置いて実施する予定である.また,当初の研究計画に加えて,分子動力学法によるMWCNTの力学特性と結晶構造との関係についても検討を行なおうと考えている.
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