2017 Fiscal Year Annual Research Report
Magnetoencephalography based on the atomic magnetometers
Project/Area Number |
16K20907
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 壮志 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (80637009)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原子磁力計 / 生体磁気計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳磁計測に向けた原子磁力計の開発を行った. 脳磁計測は, 脳の高次機能の解明や認知症や統合失調症, てんかんなどの疾患の診断等に有用である. 脳磁計測のための測定機器が脳磁計であるが, 現在の脳磁計の磁力計にはSQUID磁力計が用いられており, 運用コストが高いという問題点がある. 本研究はSQUIDに比べ, 運用コストがかからないレーザー光とスピン緩和防止コーティングを施されたガラスセル中に封入されたアルカリ原子の相互作用に基づく原子磁力計を用いて脳磁計測を行うことを目指している. 脳磁の大きさは非常に小さいので, 磁力計の感度を上がることが重要となる. 1年目には, 脳磁計の動作に必要なレーザー光のオペレーション条件 (レーザー光パワー, 中心周波数, 周波数変調幅) を調べた. 2年目には, 外部磁場の影響を抑制するために導入している磁気シールド内部の、磁気シールド自身の着磁に由来する消磁で取り除くことのできない残留磁場を補正するための補正コイルを導入した. 補正コイルを導入することで、ゼロ磁場周辺における磁力計の信号の非対称性を改善することができた. また, 実際に脳磁計を構築する際には, 空間分解能を上げるために多数のRbガラスセルが必要になるが, 従来のセル制作方法では, 同等のスピン緩和機能を持ったセルを多数用意するのは難しいので, 新たなガラス素材を使用したセル制作にも取り込み, 磁力計の信号の検出に成功した. 現状の磁場感度は, 10 pT/√Hzオーダーであるが, 更なる磁場環境の改善やセル制作によって, 脳磁の計測への見通しを立てることができた.
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