2016 Fiscal Year Research-status Report
生殖細胞の成熟過程に関わるノンコーディングRNAの同定と制御機構の解明
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16K20908
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
太田 博允 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (40772421)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオインフォマティクス / 非コードRNA / マイクロRNA / 長鎖ncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞は次世代へと自らの遺伝子情報を伝えることができる唯一の細胞である。その特殊性から生殖細胞は発生の初期段階で、他の体細胞から分化し独自の成熟・維持システムを確立している。近年の研究からタンパク質をコードしない非コードRNA (ncRNA)が様々な組織で特異的に発現し、遺伝子発現の様々な段階での制御を行っていることが明らかになってきている。 申請者はこの非コードRNA (ncRNA)に着目し、生殖細胞での機能と作用機構の解明を目的に研究を進めている。 本年度においては、低分子ncRNAについては既存のデータベースに登録されているデータを使用し、in silico解析により生殖細胞で特異的に発現しているmiRNAを3つ同定した。これらの3つのmiRNA遺伝子についてそれぞれゲノム編集技術を用いて変異体を作製したが、表現型は観察できなかった。しかし、この3つのmiRNA遺伝子を含む6つのmiRNA遺伝子の欠失により生殖細胞の顕著な減少が確認された。 また長鎖ncRNA (lncRNA) についてもE13.5PGC由来のトータルRNAのRNA-seqを行い生殖体細胞や胚性幹細胞のRNA発現プロファイルと比較し、生殖細胞で特異的な発現をするlncRNAを複数同定した。それら発現はqPCRにより生殖細胞特異的なものであることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来の予定にあったRNAシークエンスのin silico解析が終わり、qPCRによる生殖細胞特異的な発現の確認も計画通りに進んだ。低分子RNAの機能解析ではゲノム編集による変異体の作製まで終わり概ね計画通りに進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
生殖細胞特異的なmiRNAの機能解析に関してはゲノム編集技術を使用して作製したノックアウト (KO) マウスから得たF1個体、F2個体を用いてさらなる機能解析を進める。 lncRNAに関してはshRNAを使用して発現抑制を行い生殖細胞での機能を明らかにする。作用機構の解明にはin vitroで合成したlncRNAを使用し、結合タンパク質の同定を計画している。
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