2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of radioresistance in cancer cells using trans-omics approach and development of clinical biomarkers for radiotherapy.
Project/Area Number |
16K20909
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金光 祥臣 東北大学, 薬学研究科, 助手 (30752943)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線耐性 / プロテオミクス / メタボロミクス / 脂肪酸合成酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、2 種の臨床的放射線耐性細胞 (HepG2-R, SAS-R) とその親株細胞とのゲノム・プロテオーム・メタボローム比較解析を通じ、放射線耐性化に関与する分子群を同定することを目的とした。 次世代シーケンサーによって、代表的な 15 種のがん関連遺伝子配列を解読し、健常者リファレンスと比較した結果、各耐性細胞株によって新たに出現した変異および変異が消失している箇所が複数あることを明らかにした。 安定同位体アミノ酸標識法によるプロテオーム比較解析の結果、HepG2-R, SAS-Rは共に親株と比較して、アミノ酸代謝に関与する酵素群や Protein disulfide isomerase などの分子シャペロンタンパク質が増加していることを明らかにした。これらの一部については、ウェスタンブロットによっても増加していることが確認されたため、がん細胞の放射線耐性化を示すバイオマーカーとして期待できる。 また、メタボローム解析よって、上記の酵素群に関連するアミノ酸の量的変動が一致すること、並びに脂肪酸に関連する複数の代謝物が増加していることを明らかにした。フラックスアナライザーを用いて代謝能を解析した結果、HepG2-Rでは、親株と比較して解糖能が亢進していることが示唆された。また、脂肪酸関連代謝物や関連酵素も増加していた。さらに、核内においてのみ、脂肪酸合成酵素 (Fatty acid synthase; FASN) が増加していることも明らかにした。近年、新規抗がん剤候補として注目されている FASN 特異的阻害剤に対する感受性が、耐性細胞においてより高いことを見出した。すなわち、FASN 阻害剤が、放射線耐性がん細胞に対する新規治療戦略となる可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)