2016 Fiscal Year Research-status Report
抗原特異的T細胞の抑制によるシェーグレン症候群での新規治療薬の開発
Project/Area Number |
16K20928
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅島 弘充 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50708485)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 抗原特異的治療法 / シェーグレン症候群 / M3ムスカリン作働性受容体 / 抗原特異的T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群(SS)において近年注目されている自己抗原であるM3ムスカリン作働性アセチルコリン受容体(M3R)に対する免疫応答に着目し、ヒトM3R反応性T細胞のSS病態への関与を詳細に解析し、抗原特異的治療法の構築を目的とした。具体的にはヒトSS患者の小唾液腺局所におけるM3R反応性T細胞の検出および機能解析を検討した。SS患者および対照群としてIgG4関連疾患患者の小唾液腺組織に浸潤するCD4+T細胞をフローサイトメトリーにてsingle cell sortしmonoclonal T cell lineを樹立した。フィーダー細胞として45Gyの放射線照射済のアロ末梢血単核球(allo-PBMC)を用いて、約2-3か月で6人のSS患者から計66株、1人のIgG4関連疾患患者から計7株が樹立できた。また、一部のT cell lineはTCR sequenceを行い、monoclonalityを確認した。T cell lineを樹立した患者のHLAタイピングを行うと共に、ヒト M3R の全長(590アミノ酸配列)をカバーする約20 mer×45種類の合成ペプチドを作成(5 merずつ前後のペプチドと重なるようデザイン)した。 現在、M3Rペプチドとの共培養を行い、抗原に対する特異的反応をElispot AssayやBrdUなどを用いて検討中である。また、同時にT細胞エピトープ解析も行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数のヒトSS患者の小口唇唾液腺よりCD4T細胞株の樹立が確認できた。ヒトM3Rの全長をカバーするペプチド合成も完了し、網羅的にM3Rペプチドとの共培養を行い抗原特異性を評価している。しかし、抗原提示細胞として利用する患者の末梢血中より誘導した樹状細胞が十分量確保できず、当初よりも抗原特異的反応の評価が遅れてしまっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、iPS細胞などを利用した簡便かつ安定した十分量の抗原提示細胞の誘導を並行して検討している。こちらから誘導した樹状細胞が、末梢血から誘導した樹状細胞と同様に抗原提示能を保持しており、本研究でも利用できることを現在検証中である。そちらが確認でき次第、解析を更に進めていく予定である。また、末梢血中からのM3R反応性T cell lineの樹立も行っており、唾液腺局所に存在するM3R反応性T cell lineとサイトカイン産生能やTCRレパトアなどを比較検討していく予定である。
|