2017 Fiscal Year Research-status Report
教職員向け休・復学者支援マニュアル作成のための研究
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16K20933
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中岡 千幸 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (30711882)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 休・復学者支援 / 教職員向けの対応マニュアル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、東北大学工学部・工学研究科の教職員を対象に、約90分の半構造化面接を実施し、①これまで支援した休・復学者の休学理由、②休・復学者に対して行った具体的な支援内容、③どのような支援や関わり方が上手くいったか、④どのような支援や関わりに戸惑いや難しさを感じたかという事を尋ね、有効な休・復学者支援について探索的に検討した。 その結果、休学理由としては、授業についていけない、レポート(考察)が書けない、卒論、修論、博論が書けない等の修学上の問題、進路模索等進路に関する問題、部活・サークル内や、研究室内での人間関係が上手くいかない等の対人関係上の問題、やる気が出ない等の精神的問題等、多義にわたることが明らかになった。 学生や保護者から語られた内容から学生が抱えている問題が明らかになり対応が可能になることがある一方で、語られた内容からでは何が問題で、何が解決すれば学業復帰できるか分からないことがある。また、学生が抱えている問題やその解決方法は明確だが、解決策をいくつか提案しても学生が乗ってこない(動きだせない)ことがある。教職員が支援や関わりに戸惑いを感じるのは、教職員としてどのような支援を行えば良いか分からない(自分のこれまでの方法では上手くいかない)場合である。 一方で、教職員がこれまで行ってきた支援の中でも、上手くいった事例では、教職員が学生の自宅アパート、実家まで来訪したり、電話、メール、手紙などを通して、学生に心配しているという事を伝えており、動けないでいる学生を無理やりにでも動かそうとするのではなく、学生が動き出すまで辛抱強く待っていたり、動き始めたら間髪入れずどっさりとToDoを与えたりするのではなく、学生が取り組めそうな所から徐々に進めていこうと、慣らし運転をしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、当初予定していた通り、教職員対象のインタビュー調査を行い、学生支援の実態や教職員が感じている難しさについて明らかにした(研究2-1) ただ、調査協力者の確保が予想より難しく、当初予定していた人数(20名程度)に満たなかった。そのため、平成30年度も引き続き研究2-1を続け、分析を行い、その成果を発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1では、休・復学者が、休・復学するにあたって、周囲からどのような支援を受けているのか、彼らはどのような不安を抱え、どのような支援を必要としているのか、休・復学者の視点からボトムアップ的に把握する為、対象部局(工学部・工学研究科)における休・復学者に対して、質問紙調査を行う予定であったが、研究実施計画を大きく見直し、平成30年度は、学生相談所のスタッフを対象にインタビュー調査を行い、学生相談所を利用している休・復学者が抱えている(抱えていた)不安や必要としている(必要としていた)支援について探索的に検討することとした。またそれと同時に、部局と連携して上手くいった事例や上手くいかなかった事例について整理し、そのプロセスに教員が果たした役割について質的分析を行う(研究2-2)。
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Causes of Carryover |
平成28年度、研究代表者の所属機関の異動があったことにより、研究が遅れて58万円繰越しが発生した。また、研究実施計画を大きく見直す必要が生じ、平成29年度は研究1が実施できなかったことと(謝金が発生する計画であった)、それに必要な物品を購入しなかったこと、国際学会の参加を計画していたが執行できず、平成28年度の繰越金と合わせて86万円余った。来年度計画と合わせて、研究1実施に必要な物品購入のために58万円、研究1と研究2の実施に必要な人件費に10万円、学会参加や研究成果報告のための旅費に40万円充てる計画である。
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