2016 Fiscal Year Research-status Report
シェーグレン症候群における新規治療標的分子NR4A2とDPP4
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16K20934
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 広行 筑波大学, 医学医療系, 助教 (10770745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. NR4A2、CD26のタンパク質発現解析、発現細胞の同定:シェーグレン症候群 (SS)患者、IgG4関連疾患 (IgG4-RD)患者より摘出された口唇唾液腺 (LSG)の凍結切片におけるNR4A2、CD26の蛍光免疫染色を行ったところ、SS患者のLSGに浸潤したCD4陽性T細胞において、NR4A2は核内に、CD26は細胞表面に特異的な発現を認めた。また、NR4A2は、SS患者のLSGに浸潤したIL-17産生細胞において発現を認めた。 2. SS患者末梢血CD4陽性T細胞におけるNR4A2、CD26の遺伝子発現解析、Th17分化誘導:SS患者では末梢血未分画CD4陽性T細胞、ナイーブCD4陽性T細胞(CD4+CD25-CD45RA+)におけるNR4A2、CD26発現が健常者より有意に亢進していた。また、SS患者の末梢血CD4陽性T細胞は、健常者よりTh17分化傾向が有意に亢進し、ベースラインのNR4A2発現量は分化誘導後のIL-17+IFN-γ-CD4+ 細胞数と有意に相関した。 3. CD4陽性T細胞のTh17分化におけるNR4A2の細胞内局在解析:SS患者では健常者と比較し、Th17分化条件 (day 4)におけるNR4A2核内発現率が有意に亢進した。Th17分化条件 (day 4)ではImportin阻害剤 (Importazole)によりNR4A2核内発現率は有意に低下し、IL-21発現、IL-17+IFN-γ-CD4+ 細胞数は有意に減少した。 4. 研究結果の意義、今後の展開:SSのCD4陽性T細胞では、NR4A2の発現亢進、核内移行の亢進を介し、Th17分化が促進されることで病態に寄与する可能性が示され、NR4A2の発現制御、核内移行阻害がSSにおける治療戦略の一つになりうる可能性が考えられた。今後、NR4A2、CD26のSSにおける機能解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大枠においては予定通り進展している。さらに、当初予定になかったNR4A2の細胞内局在解析を追加することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
NR4A2を中心にSSにおける機能解析を進め、治療標的としての可能性をさらに検討していく。また、疾患コントロールとして使用するIgG4関連疾患患者の検体を引き続き収集していく。
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Research Products
(3 results)