2016 Fiscal Year Research-status Report
制御性T細胞におけるDNAM-1の機能解析と炎症性腸疾患の治療応用の検討
Project/Area Number |
16K20935
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金丸 由美 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00708688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNAM-1 / 制御性T細胞 / 炎症性腸疾患 / CD155 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1) 制御性T細胞 (regulatory T cell; Treg) 上のDNAM-1がTIGITを介したTregの活性化を抑制しているか明らかにする、2) DNAM-1が炎症性腸疾患 (inflammatory bowel disease; IBD) 治療の標的分子として有用か明らかにすることを目的としている。 H28年度は上記の目的を達成するための実験材料(抗体や遺伝子改変マウス)の構築および実験系の確立を行った。まずin vitroおよびin vivoいずれの実験にも必要となるFoxp3-eGFPノックイン背景のDNAM-1 KO, TIGIT KOおよびDNAM-1/TIGITダブルKOマウスの作出を行い、実験に利用できる匹数が得られた。またTregの移入を用いない腸炎モデルを行う際に必須となるTreg特異的DNAM-1コンディショナルKOマウスの作出を行い、数匹の目的マウスが得られた。 さらに、Treg上のDNAM-1および TIGITを刺激する実験に用いる特異抗体の作製を行った。抗DNAM-1抗体はすでに申請者の研究室で樹立したハイブリドーマより精製した。抗TIGIT抗体は、ハイブリドーマの樹立に成功し、精製した抗体がTIGITを架橋刺激できることを確認した。 In vitroの抑制機能アッセイについては、細胞の数や処理の方法、評価の方法を検討し実験系を確立した。In vivoのTregとCD4+ナイーブT細胞を用いた腸炎モデルについては、細胞数等の条件を検討し実験系を確立した。 H29年度はこれらの実験系を用いてTregにおけるDNAM-1の機能を解析し、DNAM-1の炎症性腸疾患における治療標的としての有用性を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスからTregを生きたまま分離するには、Tregマーカーである核内タンパク質Foxp3のレポーターマウスが必須である。申請者はFoxp3-eGFPレポーターマウスとDNAM-1 KOマウス等を交配させてFoxp3-eGFP背景のDNAM-1 KOマウス等を作出する必要があった。この行程に予定以上の時間を要した。またこれらのマウスを用いた実験系の検証が必要だったため、実験系の確立にも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に用いる材料(抗体や遺伝子改変マウス)、実験系の構築はおおむね完了したため、in vivoおよびin vitroにおいてTregにおけるDNAM-1の機能解析を行っていく。具体的には、WT/DNAM-1 KO TregとコンベンショナルT細胞を共培養し、Tregの抑制能を解析する。また、WT/DNAM-1 KO TregをCD4+ナイーブT細胞と同時にRag-1 KOマウスに移入し腸炎病態を評価する。これらの実験より、TregにおけるDNAM-1の機能を評価する。次にTreg上のDNAM-1の機能における分子メカニズムを解明する。最後に、DNAM-1がIBDの治療標的として有用であるか、抗DNAM-1中和抗体を用いて評価する。
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