2017 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic Synthesis of Fluorine-Containing Compounds via Transition Metal-Catalyzed Fluorine Elimination
Project/Area Number |
16K20939
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 健志 筑波大学, 数理物質系, 助教 (60603066)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / フッ素 / 金属触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
β-およびα-フッ素脱離は、不活性な炭素-フッ素結合でも穏和な反応条件下で切断できる有望な炭素-フッ素結合活性化法である。このようなフッ素脱離を経る反応では不活性な金属-フッ素結合が生成し、金属を触媒活性種へ戻すことが困難であったため、有機合成化学へ活用されてこなかった。このような問題を解決するため、2016年度に引き続き、求電子的活性化や酸化的環化といった有機金属化学に特有の反応過程をフッ素脱離ともに利用し、種々の炭素-フッ素結合活性化反応の開発に取り組んだ。 ニッケル触媒によるジフルオロスチレンとヒドリド供与体によるアルキンのヒドロアルケニル化を達成した。0価ニッケル触媒およびボラートの存在下、ジフルオロスチレンに対しアルキンを作用させたところ、2-フルオロ-1,3-ジエンが得られた。速度論解析により、反応機構の検討を行った。ジフルオロスチレン、アルキン、およびニッケル錯体の濃度に対する生成物の初期生成速度を調べたところ、反応次数はそれぞれについて1次であることが分かった。このことから、ジフルオロスチレンとアルキンの酸化的環化によってメタラサイクルが生じ、この中間体からβ-フッ素脱離が進行することを明らかにした。この成果は、すでに学術論文として報告した。 また、ニッケル触媒によるジフルオロアリル化合物とヨウ化アリールの還元的カップリングに成功した。ニッケル触媒、クロロシラン、およびマンガンの存在下、ジフルオロアリル化合物に対してヨウ化アリールを作用させたところ、置換モノフルオロアルケンが得られた。この反応では、β-フッ素脱離を経由して進行することが示唆された。この成果は、学術論文として投稿準備中である。 この他にも、ヨウ素カチオン等価体を用いたジフルオロアルケンのヨードアリール化やα-(トリフルオロメチル)スチレンのフロー合成法を開発し、成果を学術論文として報告した。
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Research Products
(17 results)