2018 Fiscal Year Research-status Report
児童・生徒における攻撃行動の捉え方の発達と心理社会的適応の関連
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16K20941
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
関口 雄一 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (70758820)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外顕的攻撃 / 関係性攻撃 / 小中学生 / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,小中学生の攻撃行動の捉え方と攻撃行動,心理的不適応の関連を検討することを目的とした調査研究を行った。調査の対象は,小学5・6年生と中学1~3年生652名(小学生256名,中学生396名)であった。調査に用いた指標は「攻撃行動の捉え方尺度(H28年度に作成,「正当化」,「頻度・有用性」,「否定的認識」からなる)」,「小学生用P-R攻撃性質問紙(坂井・山崎,2004)」であった。そして,心理的不適応の指標として,児童の抑うつ傾向と不安傾向を測定する尺度を採用した。具体的には,パールソン児童用抑うつ性尺度(村田・清水・森・大島, 1996)と,STAIC(State-Trait Anxiety Inventory for Children; 曽我, 1983)から状態不安を測定する20項目を使用した。心理的不適応との関連について,各変数間の相関係数を算出したところ,小中学生ともに,攻撃行動の捉え方の「頻度・有用性」と「正当化」,攻撃行動,そして,抑うつ,不安の間に有意な正の関連が示された。この結果より,攻撃行動を支持する捉え方を持つことと,心理的不適応傾向に関連があることが示唆された。 また,2019年度に実施予定である攻撃性への介入研究の一環として,中学生105名(男子57名,女子48名)を対象に,ストレスマネジメント教育を実施した。ストレス反応の指標として,岡安・嶋田・坂野(1992)の中学生用ストレス反応尺度の短縮版を用いた。その結果,介入の前後で中学生のストレス反応の合計得点が有意に低下することが示された(F(1, 103)=66.69, p<001, r=.63)。 さらに,国内学会でのポスター発表に加え,Society for Research in Child Development 2019 Biennial Meetingでの発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は,調査を進めることができたが,学内での研究室の移動という想定外の事態があり,再度研究環境の整備が求められた。そのため,データを分析する十分な期間を設けることができなかった。しかし,一番実施が難しいと想定していた介入研究の協力先を確保できたことは大きな成果であった。 さらに,国内の学会における発表に加え,予定していた通りにSociety for Research in Child Developmentで発表することもできた。一方,投稿論文の発表については,採択までの時間が想定よりも時間がかかっている状態である。以上のことから,現在までの進捗状況の自己評価として,「(3)やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,周辺自治体の小中学校において調査を行う予定である。まずは,教育委員会宛に調査依頼を行うことの許可を得ることができた後,各小中学校に調査依頼を行い,協力について検討してもらう。また,研究代表者がスクールカウンセラーとして勤務する中学校において,実施予定である攻撃性への介入研究の詳細について,中学校との具体的なスケジュールの相談を行う。既に,介入研究の実施の同意は得られているので,これまでの調査研究の結果に基づいて,具体的な介入の手続きに関する検討を深める予定である。 また,得られた研究成果について,国内の雑誌論文に投稿を行う。
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Research Products
(3 results)