2021 Fiscal Year Research-status Report
子供の言語獲得におけるレファレンスセット計算の役割
Project/Area Number |
16K20979
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 奈津美 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 客員研究員 (30761431)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | レファレンスセット計算 / ワーキングメモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、レファレンスセット計算(Reference-set computation)と呼ばれる演算が含まれる処理コストの高い文に対するし、子供は大人と同じように行うことができないことを示してきた。本研究は、オンライン実験を含む一連の実験を行なうことで、子供のレファレンスセット計算の過程とレファレンスセット計算が子供にとって困難な原因、作業記憶などの認知機能との関わりをを明らかにすることを目的としていた。 これまで実施して来た研究で、2つの量化子を含む中国語の文に関して、意味的曖昧性が出る場合と出ない場合があるが、これはレファレンスセット計算が働いていると仮定すればうまく説明がつくことを提示した。このことにより、日本語や英語を含む他言語の同一の構文に対して同一の説明を与えることに成功した。 計画していた真偽値判断課題(Truth Value Judgmeng Task)用いて、レファレンスセット計算が必要な文の理解を測定するものに関しては、真偽値判断課題を用いてかき混ぜ文の理解を調査した複数の先行研究を鑑みると、レファレンスセット計算以外にも韻律などが関わってくることが明らかとなったため、実験計画を立て直している。 作業記憶容量を測る方法としては、counting span testとunimodal dual non-word repetition taskを計画していたが、より広く認知機能を計測できるWISCを実施することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
育休産休に続き、コロナウイルス感染拡大により、子どもに対して対面で調査を行うことができなくなったため、研究の計画に遅れが出ている。2022年度は対面での調査も可能となったため、スムーズに研究を進めることができる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はデータの取得に努める。WISCに関しては、被験者が集まり次第実施可能である。レファレンスセット計算が必要な文処理に関しては、実験デザインの練り直しが必要となる。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大により、学会などもオンラインで行うことが多く、旅費が必要なくなった。また、対面で調査が実施できなくなったため、被験者への謝礼なども支払う必要がなくなった。
|