2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Role of Reference Set Computation in Children's Language Acquisition
Project/Area Number |
16K20979
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 奈津美 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 客員研究員 (30761431)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レファレンスセット計算 / 第一言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、レファレンスセット計算(Reference-set computation)と呼ばれる演算が含まれる処理コストの高い文に対するし、子供は大人と同じように行うことができないことを示してきた。本研究は、子供のレファレンスセット計算の過程とレファレンスセット計算が子供にとって困難な原因を明らかにすることが目的である。先行研究における実験データの再分析と、実際に行った実験から、子供は量化子を2つ含む文に対し逆スコープ読みを許容する場合とされない場合があり、統計的にはその許容率は偶然の域を超えていないことがわかった。本研究の結果と先行研究を鑑みると、これは子供の処理能力が未熟ため、逆スコープ読みを阻止するレファレンスセット計算を最後まで遂行できず、推測により応えるためであるというReinhartの説を支持できる。Reinhartはまた、子供は大人に比べて記憶や情報処理能力など言語外の認知機能に制限があり、それがかえって言語習得において有利に働いているとする less is more 仮説を提唱しており、本研究の結果も言語習得において作業記憶は重要な役割を果たしている可能性に関して示唆を与えることができる。
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