2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of tetrachromatic retinal cone subtypes in zebrafish
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16K20983
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
白木 知也 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 博士研究員 (40632352)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 光受容 / 転写制御 / 視覚 / 網膜 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物は4種類に大別される錐体細胞をもつが、この中で青錐体の分化・成熟に特異的に関わる転写因子だけが不明であった。我々はゼブラフィッシュを用いた遺伝子発現解析や視細胞の分化・成熟に関わる転写因子の変異体の解析を通じて、新規のfoxファミリー遺伝子を青錐体への分化・成熟に関わる因子の候補として同定した。そこで申請者は、CRISPR/Cas9システムを用いて、この新規foxファミリー遺伝子のゼブラフィッシュ変異体の作製を試みた。多数のsgRNAを作製し、最終的にForkheadドメインよりN末端側とForkheadドメイン中にそれぞれターゲット部位をもつ二種類のsgRNAが十分な活性をもつことが分かった。これら二種のsgRNAをインジェクションした個体から、変異の入ったF1個体を多数同定することに成功した。その中から上記の二種類のsgRNAそれぞれに対して一種類のフレームシフト変異を選び、ヘテロのF1個体同士の交配によりF2個体において機能解析を行った。その結果、この新規foxファミリー遺伝子の変異体の幼生の眼球では、視物質オプシン遺伝子の中で青錐体オプシン遺伝子の発現のみが特異的にほぼ消失することが分かった。この表現型は成魚の眼球においても観察された。以上から、この新規foxファミリー遺伝子はゼブラフィッシュにおいて青錐体の分化・成熟を特異的に制御する転写因子であると考えられた。この新規foxファミリー遺伝子は青錐体オプシン遺伝子をもつ脊椎動物ではよく保存されていることから、この新規foxファミリー遺伝子は脊椎動物において青錐体オプシン遺伝子の転写を制御する因子であると予測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規foxファミリー転写因子の変異体を作製し、この転写因子こそが青錐体の分化・成熟に必須であることを見出した。以上のように、本申請の主目的である「青錐体の分化・成熟を特異的に制御する因子の同定」を達成できたことから、交付申請書の実施計画に記載した内容を概ね達成することができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新規foxファミリー遺伝子が青錐体の分化・成熟をどう制御しているのか、その分子メカニズムに迫ることを目指す。まず、新規foxファミリー遺伝子のターゲット遺伝子を同定するためにChIP-seq解析を行う予定である。そのために、新規foxファミリー遺伝子に対する抗体を作製するとともに、並行して、タグをつけた新規foxファミリー遺伝子を視細胞に強制発現するトランスジェニック系統の作製を行う。次に、この新規foxファミリー遺伝子が青錐体オプシン遺伝子の発現に十分であるか否かを調べるために、他のタイプの視細胞にこの新規foxファミリー遺伝子を強制発現するトランスジェニック系統を作製する。一方、この新規foxファミリー遺伝子の発現がどのように制御されているのかを明らかにすることも目指す。まず、青錐体と緑錐体の両方が消失する別の転写因子の変異体との関連を調べるために、この転写因子が新規foxファミリー遺伝子を直接的に制御している可能性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新規foxファミリー遺伝子のChIP-seq解析を次年度以降に行うため、これらの実験のために計上していた予算を次年度以降に繰り越すこととなった。抗体の作成とトランスジェニック系統の作製が完了し次第、これらの解析のための費用に使用する。
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