2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ空間での界面カップリング反応を利用した免疫隔離ハイドロゲルカプセルの開発
Project/Area Number |
16K20985
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡邉 貴一 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60743979)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | マイクロカプセル / マイクロ流体デバイス / 水性二相 / ゲル粒子 / 相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロ流体デバイスを利用した四分岐ポリエチレングリコール(Tetra-PEG)系ハイドロゲルマイクロカプセルの連続調製方法を構築し,そのゲル化および溶液組成がマイクロカプセル構造に及ぼす影響について検討した。Tetra-PEG系マクロモノマーとデキストラン(DEX)間の水相二相系を液滴内で誘起し,液滴の外側相に相分離したTetra-PEG系マクロモノマー相を末端カップリング反応でゲル化することで,Tetra-PEGゲルをシェル,DEXをコアとするハイドロゲルマイクロカプセルを連続調製できることを見いだした。本調製法は,液滴内でのコアシェル構造形成が自発的に進行するため,従来法に比べて簡便なマイクロ流体デバイスを適用できる。また,液滴内のシェル相のゲル化はマクロモノマーの自発的なカップリング反応により進行し,加熱や紫外線照射等の外部ゲル化トリガーが不要であるため,本調製法は環境低負荷なハイドロゲルカプセル調製法であると考えられる。 Tetra-PEG系マクロモノマーの分子量,溶液pHがゲル化時間に及ぼす影響を検討したところ,マクロモノマーの分子量が小さく,溶液pHが中性付近である条件において速やかなゲル化の進行が確認された。また,ゲル化反応速度により相分離構造を制御できることがわかった。具体的には,本系でゲル化速度が遅い条件では,ヤヌス構造(平衡配置)のゲル微粒子が得られた。一方で,ゲル化速度が速い条件では,コアシェル構造(非平衡配置)のゲルカプセルが得られた。 本研究でマイクロ流路内におけるTetra-PEG系マクロモノマーのゲル化反応と液滴内相分離現象およびそれらを応用したハイドロゲルカプセル調製法に関する有用な知見を得ることができた。これらの結果は,マイクロ空間での高粘度流体の制御技術やソフトマター調製技術に寄与できるものと期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように,マイクロ空間でハイドロゲルカプセルを調製するための基礎的な知見を得ることができており,水性二相系からなる液滴の相分離を制御し,液体をコア,四分岐PEGをシェルとするハイドロゲルカプセルを得るまでに至った点で,十分進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本技術で用いるゲル化反応条件とその反応で得られるハイドロゲルカプセルの物性(機械的強度,分子透過性,物質の内包性,シェルの膨潤特性)の関係を比較,評価することで,目的の機能に応じたハイドロゲルカプセルの設計指針を提案できると考えている。また,現在の調製法では長時間連続運転している際に,流路の閉塞が度々生じており,目的のデータを取得するために必要以上に時間を要している。今後,研究を推進するために,閉塞なく長時間運転できる流体の混合方法・反応方法を考案する。
|
Research Products
(3 results)