2016 Fiscal Year Research-status Report
The role of cell adhesion molecule 1 (CADM1) on the high-grade neuroendocrine carcinoma of the lung
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16K20993
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
種井 善一 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90757650)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺神経内分泌癌 / CADM1 / 細胞株 / 腫瘍形成能 / 増殖能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果: 細胞接着分子 CADM1 による,肺高悪性度神経内分泌癌(high-grade neuroendocrine carcinoma, HGNEC:小細胞癌および大細胞神経内分泌癌)の増殖や浸潤,転移などの悪性化機序を解明することを目的として,主に(1)HENEC の細胞株におけるノックアウト(KO)株の作製および(2)増殖能の評価を目的とした皮下移植実験を実施した. (1)細胞株の作製に関しては,HGNEC の細胞株の大部分は,CADM1 を発現していることから,CRISPR/Cas9 システムを用いて,CADM1 の 2 ヶ所の exon を標的とした KO 株を作製した.親株としては,大細胞神経内分泌癌の特徴を有することを報告した,VMRC-LCD を使用した(Cancer Sci. 2016). (2)上記の親株および 2 種類の KO 株をヌードマウスに皮下移植したところ,CADM1 の発現の有無で,腫瘍形成能や増殖能に有意差を見出せなかった. 意義: 以前に基礎的な研究として実施した,HGNEC の手術標本を用いた免疫組織化学的な解析では,CADM1 の発現は有意な予後不良因子であるものの,臨床病理学的な腫瘍径との有意な関係は見出せなかった.従って,上記の結果も CADM1 による HGNEC の悪性化機序は,癌細胞の増殖促進を介するものではない可能性を示唆すると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,細胞株の作製を主に計画しており,VMRC-LCD を用いて CADM1 KO 株を作製し,皮下移植実験により,腫瘍形成能や増殖能を評価した.従って,当初の計画通りに進展していると考えている.また,CADM1 KO 株に関しては,肺小細胞癌の細胞株に関しても作製中である.
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Strategy for Future Research Activity |
HGNEC の手術標本を用いた臨床病理学的な解析結果や,本年度の VMRC-LCD(大細胞神経内分泌癌の特徴を有する細胞株)とその KO 株(2 種類)を用いた皮下移植実験の結果からは,CADM1 による HGNEC の悪性化機序は,癌細胞の増殖促進を介したものではない可能性が示唆された.他の HGNEC の細胞株でも検討するため,主に肺小細胞癌の細胞株を親株とした KO 株との比較検討を実施したいと考えている. また,臨床病理学的な解析からは,CADM1 の発現がリンパ節転移陽性と有意に相関するという結果を得ている.CADM1 の発現の有無と転移能の関係を調べるため,ヌードマウスの尾静脈への細胞株の注入や,肺への同所移植などの実験を実施し,悪性化の機序の解明したいと考えている.
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