2016 Fiscal Year Research-status Report
生態幾何学を用いた乳幼児の散歩経路パタンの抽出および認知活動評価
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16K20994
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山崎 寛恵 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 学術研究員 (40718938)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行為発達 / 生態心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は環境に根差した知覚―行為系研究の手法である生態幾何学の方法を,保育園の園外活動の一つである散歩場面に適用することによって、乳幼児の「見え」と「姿勢」の変化特性を,経路に散在する複数の建築物群がつくる遮蔽関係に基づいて分類し,子ども達の周囲への注意をナヴィゲートするミクロな環境構造パタンを抽出することを目的としている。 今年度は、まず観察デザインの具体的な設定として、既に収集済みの男児1名の1歳から3歳までの散歩場面の動画を用いた分析を行った。また、保育施設で半年間、月一回フィールドワークを実施してデータを収集し、分析にあたっての観察機器の使用可能性の検証と場面の絞り込みを行った。上記観察デザインの準備と並行して、生態幾何学の理論的基盤の精査を行うための資料調査を行い、関連する研究者らとの研究会を実施した。これらの成果の一部を、日本発達心理学会第28回大会ラウンドテーブル「行為発達の環境デザイン」で発表し、保育施設や家庭での乳幼児の行為発達を観察している研究者らと議論した。 また、データ収集にあたっては、これまでに協力を得ていた認可保育所に加え、新たに認定こども園の協力を得ることができ、施設関係者との連携をはかりフィールドワークに取り掛かった。これにより2年目以降のデータ収集で自由度の高い観察が可能となる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初に計画していた1歳児のデータ収集を終えることはできなかったものの、既に習得済みのデータを使用すること等によって、研究を進めることができた。これらの結果について初年度内に学会報告を行ったことは、当初の予定以上の成果であったといえる。データ収集のデザインの細部を精査、確定することができ、次年度の研究が予定よりスムーズになることが期待できる。 以上の結果より、ほぼ予定通りの進行であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はほぼ予定通りの進展となっているが、データ収集において未完了の部分もあり、平成29年度はデータ収集作業を第一優先に進めていきたい。既に観察デザインは整えられており、前年度協力を得られた乳幼児施設でのフィールドワークを継続し、随時分析に取り掛かる予定である。また、その成果を第29回日本発達心理学で報告することを目指して準備を進めていく予定である。 研究代表者の所属機関変更に伴い、新所属先での本研究に関連する研究者との研究会なども実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
論文執筆時の英文校閲費を見こした予算分が余ったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初平成28年度に予定していた英文校閲費として、本年度使用する。
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