2018 Fiscal Year Research-status Report
生態幾何学を用いた乳幼児の散歩経路パタンの抽出および認知活動評価
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16K20994
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
山崎 寛恵 お茶の水女子大学, 人間発達教育科学研究所, 研究協力員 (40718938)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 行動発達 / 生態心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 機能的関係を持つものとしてヒトのふるまいと環境構造を記述する「生態幾何学」と呼ばれる方法を,保育園の園外活動の一つである散歩場面に適用しようとするものである。散歩時の 1,2 歳児の「見え」と「姿勢」の変化特性を,経路に散在する複数の建築物群がつくる遮蔽関係に基づいて分類し,子ども達の周囲への注意をナヴィゲートするミクロな環境構造パタンを抽出することを目的としている。 2018年度は,前年度に行った認定こども園1,2歳児クラスにおける散歩のフィールドワークの動画データから,姿勢の変化が生じる場面を散歩行動の転換ポイントとして同定し、それに関連する環境構成を分類しパタン化した。そうした分析結果について,協力先こども園代表者や関連する保育学研究者との研究会を実施し、こども園の施設外の保育実践に関する議論を行った。さらに分析手法の土台となる生態心理学理論についての最新の動向を追う研究会を、国内の生態心理学者らとともに行った。 これら分析作業および研究会でのレビューや議論をふまえ,これまでの研究の途中経過を,特に分析手法に焦点を当ててまとめ,日本生態心理学会第7回大会で詳細を報告した。分析手続きに関して,いくつかの問題点が洗い出されたため,当該年度後半は再度分析に取り組んだ。その成果については,今年度の国際学会OMEP Asia Pacific Regional Conferenceで報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の年次計画1年目に所属機関を異動し,研究環境の再構築を行ったため,計画が順次ずれ込んでいる。また,昨年度に取り組んだ分析で,その方法にいくつかの問題点があることが明らかになり,その対策検討と分析のやり直しに時間を要したため,計画に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集→データ分析は一部を残して完了しており、本年度は成果の公表を順次行っていく。本科研の最終年度ということで、今年度前半にはデータ分析の残りを終えることを目指し、データ分析の方法を当初計画していた量的分析から質的分析へと変更することで、一定の成果を出す方向を考えている。
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Causes of Carryover |
データ分析の遅れにより、当初予定していた論文投稿および学会発表による報告に至らなかったため、英文校閲や旅費、投稿に係る費用の支出がなかった。次年度に繰越し、学会発表や投稿論文のために使用する計画である。
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