2017 Fiscal Year Research-status Report
占領期・高度成長期・戦後後期の展示空間に関する研究
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16K21010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 泰岳 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任助教 (10749203)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 美術館 / アーカイヴ / ドキュメンタリー / リアリズム / ポップ / 前衛 / 視覚文化 / 文化外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度には「Shinjuku: The Phenomenal City」展(ニューヨーク近代美術館(MoMA)、1975年-1976年)に関する成果を発表した。ポスト・モダニズムという転機を訴えようとする点で先行研究が着目する「The Architecture of the Ecole des beaux-arts」展(表示できないためアクサンを割愛)とほぼ同じ会期で開催されたこの展覧会については、展覧会カタログが出版されなかったことから不明な点が多く残っていた。そこで本研究では占領と高度成長を経た新宿が、この展覧会でニューヨークの観客にどのように示されたのかを明らかにするために現地で調査を進めた。この展覧会を企画したピーター・グラックとヘンリー・スミス、多木浩二らは、新宿を撮影した写真や、人々が行き交うターミナルなどを描いた「イメージ・マップ」(Experience Map)、そしてプラスチックの料理の模型や造花などを展示することで、いわば「生きられた」都市とでもいうべきありようを美術館の中で示そうとしていた。ただし本研究ではこうした都市への視座を、ミュージアム等に作品や資料などを設置することでどのように表すことができるのかという点についても扱った。この成果については2017年10月に中国の天津で開催された東アジア建築文化国際会議(East Asian Architectural History Conference)で発表した。また本研究との関連から、国立近現代建築資料館で開催された「紙の上の建築」展の図録に寄稿する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には前年度よりひきつづき、事例とする展覧会や博覧会に関する調査とその成果の発表を行った。またその過程で文書や図面、写真などの収集をすすめつつ、関係者への聞き取り調査(オーラル・ヒストリー)を実施することができた。以上の理由より、順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には資料の収集や整理を行うとともに、国内外の学会等で口頭発表を行い、学術雑誌で論文を発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
予定していた調査を翌年度に進めるよう変更したため。
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