2018 Fiscal Year Research-status Report
占領期・高度成長期・戦後後期の展示空間に関する研究
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16K21010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 泰岳 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任助教 (10749203)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インスタレーション / ポップ・アート / フォーク・アート / 工芸 / 記録映画 / GHQ/SCAP / 物質文化 / 文化交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度には、発足した当初の国立近代美術館(現:東京国立近代美術館)とその特別展(企画展)に関する成果を論文として発表した。占領期から1950年代には新たに登場する美術館の活動と、デパートメント・ストアや画廊、公園、広場等における芸術運動とが入り交じっていた。だが谷口吉郎や丹下健三といった建築家たちが「芸術の総合」という標語を掲げ、日本の国内外で開催された博覧会や展覧会の会場を設計していたことは次第に忘れられ、これまでの研究でも二次的に扱われてきた。また明治や大正、昭和戦前期、大戦下の博覧会や展覧会について研究が進められてきた一方で、アジア・太平洋戦争後の動向については検討が進まず、その成果をどのように位置づけていくかという点については課題のままにある。そこでこの論文では東京国立近代美術館に保管される調書など先行する研究で検討されていない資料を用いて、このミュージアムの性格を規定する敷地の選定や建築物の改修、そして同館で開催された「日本近代美術展:近代絵画の回顧と展望」(1952年)や「日米抽象美術展」(1955年)、一連の「現代の眼」展について検証した。 また本研究と横断的に進展させるために田中一光アーカイブに保管されている資料の調査も進め、DNP文化振興財団の紀要に論文が掲載された。さらに本研究との関連から2018年7月14日に津田塾大学で開催されたデザイン史学研究会のシンポジウムでも、東京オリンピック(1964年)とモントリオール万国博覧会(1967年)に関する成果を発表する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は前年度よりひきつづき事例とする展覧会や博覧会に関する調査と成果の発表を進めた。また文書や図面、写真などの収集をすすめ、聞き取り調査の成果をオーラル・ヒストリーとして公開することができた。以上の理由より順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には資料の収集を進めるとともに、これまでの論文をまとめ上梓することを予定している。
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Causes of Carryover |
予定していた調査を翌年度に進めるよう変更したため。
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Research Products
(7 results)