2019 Fiscal Year Annual Research Report
Exhibition Installations in Postwar Japan: The US Occupation, Rapid Economic Growth and its Aftermath
Project/Area Number |
16K21010
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 泰岳 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任助教 (10749203)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 連合国総司令部 / ギャラリー / 美術博物館 / 収蔵庫 / コレクション / 民藝 / 陶芸 / プリミティヴ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、これまでの調査で集めた「Japanese Household Objects」展に関する資料の分析を進めた。ニューヨークのMoMA(ミュージアム・オブ・モダン・アート)で1951年に開催されたこの展覧会には、建築家のアントニン・レーモンドとノエミ・レーモンドが収集した器物や、陶芸家の八木一夫が制作した花瓶が並んだ。ただしこの「Japanese Household Objects」展は、ジョン・D・ロックフェラー3世とブランシェット・ロックフェラーが進めようとしていた文化外交(カルチュラル・ディプロマシー)をいちはやく視覚化する空間でもあった。他方、この会期中にはレーモンド夫妻がイサム・ノグチと共に設計したリーダーズ・ダイジェスト東京支社も竣工する。アントニンとノエミは「Japanese Household Objects」展に続き、このホールで開催された「現代日本陶磁展」にもかかわるが、政府の要人が集まるこの展覧会もやはり外交の渦中にあった。本研究ではこうした一連の展示において、建築や絵画、彫刻、工芸等が押し並べて日本を紹介するための用品として扱われることによって、当時の外交がこうした造形の区分を再編する契機でもあったことを読み解いた。なおこの成果は論文として『文化資源学』に採録されることが決定している。 また2019年度には、前年度までに発表した成果との関連で、国立国際美術館が刊行する『国立国際美術館ニュース』に寄稿する機会を得た。あわせて前年度から継続して各地で資料の収集を進めるとともに、これまでの論文をまとめ上梓するための準備を進めた。
|