2018 Fiscal Year Research-status Report
数学的モデル化における仮定設定能力の実態解明とその育成に関する研究
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16K21022
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
清野 辰彦 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00550740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 数学的モデル化 / 学習指導 / 仮定の設定 / 仮定の意識化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現実事象の問題を数学を活用して考察する能力,すなわち,数学的モデル化の能力の育成は,生きる力の育成を掲げる学校教育において,数学教育が果たすべき重要な役割の1つである。だが,数学的モデル化の能力は,十分に育成されていないことが全国学力・学習状況調査等の結果により,指摘されている。多くの児童・生徒は,数学的モデル化における仮定の設定とその数学的定式化でつまずいている。 本研究の目的は,仮定の意識化と設定に関わる能力の育成を重視した数学的モデル化の学習指導を構築し,その学習指導を同一の児童・生徒を対象に,3か年に渡って実施することにより,数学的モデル化の能力がどのように変容したのかを分析し,学習指導の有効性を検討することである。 三年次は,以下のことに取り組んできた。 1つ目は,小学校6年生,中学校3年生の学習内容に対応した数学的モデル化教材の開発である。2つ目は,国外において,数学的モデル化を重視している中等学校教育段階の教科書(『Connected Mathematics』,『Mathematics in Context』,『Contemporary mathematics in Context』)の分析と評価である。分析の観点は,「どのような現実事象を扱っているのか」,「問題を解決する際、どのようなプロセスを辿ることができるのか」,「どのような数学的概念や手法を獲得することができるのか」,「問題を解決する際、テクノロジーがどのような役割を果たしているのか」である。3つ目は,教科書の分析や文献解釈を通して、数学的モデル化の学習指導の枠組みにおける構成要素を抽出したことである。そして,4つ目は,施設配置問題に焦点をあて,高等学校の生徒を対象に教材を開発したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度取り組んできた課題は,主に教材開発,学習指導の構築,仮定の設定能力に関する調査研究に用いる調査問題の開発である。教材を開発していく中で,その教材を用いた授業を行う際の教師教育も同時に進めていく必要があると考えるようになった。教師教育に関わるワークショップの内容と方法についても,検討できればよいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本研究課題の解決に向けた最終年にあたる。各課題の解決の進捗状況を把握しながら,研究全体を推し進める。また,教師教育に関わる課題についても同定し,その課題の解決に向けた取り組みを行いたいと考えている.
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Causes of Carryover |
本年度は,英語による論文執筆にあたり,英語校正費用の執行を予定していたが,論文執筆が遅れていたため,予定の通り,執行することができなかった.2019年5月に,Journal of Mathematics Teacher Educationに,論文投稿予定であるので,その際に予算を執行する予定である.
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Research Products
(2 results)