2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K21024
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
村田 実貴生 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60447365)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 応用数学 / 解析学 / セル・オートマトン / 反応拡散系 |
Outline of Annual Research Achievements |
従前の研究において、パターン形成の数理モデルであるような反応拡散系であるグレイ・スコットモデルを元にセル・オートマトンを構築した。そのセル・オートマトンの一般化を考えることにより反応拡散現象を表す新しいセル・オートマトンの一群を構築する。微分方程式は連続的に状態を表現するモデルであるから、得られるパターンも連続的なものとなるが、セル・オートマトンは離散的に状態を表現するモデルであり、微分方程式よりも単純に現象を表現したり、微分方程式では表現できない現象を表現する可能性もあると考えられる。 本年度では、主にチューリングパターンに着目して研究を行った。反応拡散系ではチューリングパターンと呼ばれる空間パターンが生じることがあり、グレイ・スコットモデルはそのような反応拡散系の一つである。具体的には、拡散効果がない場合には一様な定常状態をとるが、拡散項の影響によりその状態から非一様な定常状態(空間パターン)が生じる場合をいい、このことを拡散誘導不安定性という。構成したセル・オートマトンについて、拡散効果がない場合は速やかに定常状態になるが拡散効果によって非一様な定常状態が生じるものを調査した。拡散誘導不安定性については空間1次元のセル・オートマトンでも確認できるが、空間パターンを見るためには空間2次元のセル・オートマトンを考える必要がある。空間2次元の場合には離散点を正方格子上にとる以外に三角格子、六角格子上にとる3種類が考えられ、最近傍のセルの個数が異なる。また、正方格子の場合にはムーア近傍とフォン・ノイマン近傍の2つの近傍系が考えられる。格子や近傍系による非一様な定常状態の相違を調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、「連立型反応拡散セル・オートマトン」について、これまでの研究により得られた性質・特徴を踏まえて、応用数学での活用を検討する予定としていた。 反応拡散系の応用数学での活用の一つにチューリングパターンがあり、例えば生物の形態形成の数理モデルとして用いられている。「連立型反応拡散セル・オートマトン」にも反応拡散系と同様のチューリングパターンと考えられる空間パターンが存在することが分かった。得られたセル・オートマトンの性質・特徴のうち、主にチューリングパターンに着目して、応用数学での活用を検討することができたので、おおむね、計画を遂行することができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
「連立型反応拡散セル・オートマトン」の応用数学での具体的な活用として、チューリングパターンが発生するようなセル・オートマトンを生物の形態形成の数理モデルに活用することを研究し、その研究結果を学会講演、学術論文により発表する。 最終年度であるため、前年度までに研究を実施した「連立型反応拡散セル・オートマトン」について、これまでの研究結果をまとめ、その研究結果を学会講演、学術論文により発表する。
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Causes of Carryover |
研究集会の開催地が計画時の想定よりも近隣になったため、旅費の使用額が予定より減額となり次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、より研究が推進するように、出張用の旅費の一部や文献資料購入のための物品費の一部に充当する使用計画をたてる。
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