2016 Fiscal Year Research-status Report
保護区による生物多様性保全の有効性評価と改善すべき社会特性を推定する枠組みの構築
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16K21027
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
赤坂 宗光 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70446384)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国立公園 / 絶滅危惧植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に以下の2つの事項について研究を進めた。 1.国内の各国立公園に対して、生物多様性の保全の有効性の評価を、絶滅危惧植物の局所絶滅率の低減している程度を指標に実施した。絶滅危惧植物(約1700 種)の空間分布情報[二次(1994)-四次レッドリスト(2010)]と、各国立公園の空間データを活用し、各公園区域内に分布する絶滅危惧植物の15 年間の局所絶滅率を指標として各公園の有効性を評価した。この評価は、階層ベイズモデルを用い、各絶滅危惧植物種の局所絶滅のしやすさを調整した上で実施した。結果、国立公園の間に比較的大きな有効性の違いがあることが確認できた。 2.各公園の管理主体の社会的特性に関するデータ整備の検討を行った。収集する項目は、先行研究との比較を可能とするためRapid Assessment and Prioritization of Protected Areas Management (RAPPAM6 )等の項目を参考に検討をした。特に予算に関わるアンケート項目については、回答者となりうる環境省の職員数人に対して実施し回答のしやすさや一貫性のある回答が得られそうか等についてヒアリングを行ったところ、想定していた項目では、回答者の負担が大きい上に望まれる質の回答が得られにくいことが判明した。このために、社会特性については次年度に再度検討をして質問項目を絞って実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各国立公園の評価については予定通り、各公園の評価を実施することが出来た。しかし、社会特性の収集については、上述のとおり、再検討が必要となったことと、国立公園の活性化に関わる環境省の大規模プロジェクトが始動したこと等により本年度にアンケートを実施し回答を得にくい状況であったことなどから想定していた社会特性の収集については必ずしも充分な進展をすることが出来なかった。社会特性の収集については当初から2年度をかけて収集する予定であったたため次年度に集中して実施し遅れを取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度と次年度の2年度かけて収集する予定であった社会特性の収集を次年度、収集して実施する。併せて国立公園の有効性を規定する社会特性を把握する統計モデルの構造についても検討を行う。必要に応じ該当分野で先進的な成果を挙げているオーストラリア The University of Queensland の研究チームを訪問し、先進事例や技術的な助言を受けて研究を遂行することも検討する。
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Causes of Carryover |
研究概要で述べたとおり、社会特性のアンケートおよび現地訪問による収集を本年度見合わせたことで、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度、実施予定であったものの研究の進捗から延期した現地への出張を次年度に実施する。また構築するモデルでのパラメータ推定に想定以上に時間を要しているため、新たにワークステーションを購入・もしくはリースすることを検討している。
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Research Products
(3 results)