2016 Fiscal Year Research-status Report
ヨーグルトの抗菌-整腸作用に着目した術後難治性炎症病態に対する新規治療法の開拓
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16K21041
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田島 陽介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30757505)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヨーグルト / 乳酸菌 / MRSA / 乳酸 / 過酸化水素 / バクテリオシン |
Outline of Annual Research Achievements |
外科領域を含め、MRSAをはじめとした耐性菌の問題は未だに解決されておらず、新たな抗菌薬開発と新たな耐性菌出現のいたちごっこが続いている。今回我々は、腸内細菌叢のバランス改善効果をもつヨーグルトがMRSAに対して強い抗菌活性を示すことに着目した。予備実験では新潟県産のヤスダヨーグルトが最も強い抗菌活性を示したため、同ヨーグルトのMRSAに対する抗菌活性機序を解明する研究に着手した。 ヨーグルトの抗菌活性成分として、乳酸菌が産生する有機酸・過酸化水素・バクテリオシンが候補として挙げられた。ヤスダヨーグルトより抗菌活性成分を産生する乳酸菌Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus(以下、LDB菌)を分離・同定した。LDB菌を培養し、MRSAに対する抗菌活性効果を各種条件下で検証した。その結果、LDB菌のMRSAに対する抗菌活性成分は乳酸および過酸化水素であることが判明した。 今後はさらに、抗菌活性や腸内細菌叢バランス改善をもたらすヤスダヨーグルトの医療への臨床応用の可能性を模索した。外科領域においては潰瘍性大腸炎と腸内細菌叢との関連が示唆されているが、潰瘍性大腸炎根治手術後の回腸嚢炎と腸内細菌叢との関連は明らかではない。ヤスダヨーグルト摂取による回腸嚢炎の改善効果を検証し、同ヨーグルトの臨床応用を目指すとともに回腸嚢炎発症機序の解明を並行して行うことを目標とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた研究課題2項目のち、1項目について結論を出すことが出来た、すなわちヤスダヨーグルトのMRSAに対する抗菌活性成分を同定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに、抗菌活性や腸内細菌叢バランス改善をもたらすヤスダヨーグルトの医療への臨床応用の可能性を模索刷る予定である。具体的には、外科領域においては潰瘍性大腸炎と腸内細菌叢との関連が示唆されているが、潰瘍性大腸炎根治手術後の回腸嚢炎と腸内細菌叢との関連は明らかではない。ヤスダヨーグルト(内の乳酸菌)の回腸嚢炎患者便(内の腸内細菌叢)への効果を細菌学的・分子生物学的手法により解明していく。それと並行して、回腸嚢炎患者に同ヨーグルトを摂取してもらうことによる回腸嚢炎改善効果を前向き臨床試験で検証していく予定である。
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