2017 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質大域的ネットワークの時空構造操作による自己-外界間因果の主観的判断の改変
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16K21042
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
足立 雄哉 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40625646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知神経科学 / マカクザル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自己と外界事象との因果関係の認識を担う霊長類大脳皮質の神経機構を調べることを目的としている。 自己に関する情報の処理に関わることが示唆される部位はヒトにおけるイメージングで脳の多くの領域に広範囲に報告されているものの、自身と外界の間の因果認識についての関連脳領野は十分にわかっていない。これらの領域を含む多くの部位が双方向に作用して形成する大域的な神経ネットワークでおこなわれる分散的信号処理を、侵襲的手法により調べるために、まずはマカクザルにおける行動学的実験系を構築する。電気生理学実験により自己を含む因果認識に関わる脳領域の同定とそれらの領域の間での神経活動の同時観測とを行い、因果関係の判断を行うときの大脳皮質の遠く離れた多領野間および領野内の相互作用を観測する。 本年度は、研究実施計画に基づき、昨年度に確立した事象原因が自分か外部かを判断する行動実験系を用いてマカクザルの課題訓練の継続と行動学的な実験を行った。マカクザルが自己を含む因果関係を経験により学習し、さらに因果構造が変化する状況においても学習を通じて適切な原因帰属行動をとることができることが確認された。条件を変えた実験やデータ解析を通じて自己やその他の存在へのサルの原因帰属様式を行動学的に今後調べるとともに、電気生理学的な神経活動記録や刺激をおこない、自己に関する因果認識にかかわる脳領域の同定とその役割を調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、構築した行動実験系において因果関係が変化する状況でマカクザルが学習を通じて適切な原因帰属行動をとることができることを確認し、自己やその他の存在へのサルの原因帰属様式を調べる実験と解析が進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに構築した行動実験の進捗をうけ、研究計画に従って、課題遂行中のサルにおける行動学的電気生理学的観測や刺激による介入実験を順次進める。
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Causes of Carryover |
行動実験・電気生理学実験に使用する機材や消耗品、動物の購入を次年度に行うこととしたほか、所属研究室に既存の機材・薬品・消耗品を使用するなど研究を効率的に推進した。次年度請求額と合わせ、計画している実験に必要な電気生理学機材・行動実験機材・消耗品・動物・手術用薬品・飼料の購入費用として使用する。
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Research Products
(1 results)