2016 Fiscal Year Research-status Report
風況条件や形状の不確かさを考慮した小型風車の最適設計とその有効性実証
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16K21047
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山崎 渉 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50598696)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不確実性 / 垂直軸型風車 / 最適形状設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高度な不確実性解析技術の開発と共に、その小型風車の最適設計への応用を目指している。不確実性解析技術としては、不確実性の伝播を直接解析するために支配方程式自体を拡張する多項式カオス法に基づく手法や、数個のサンプル点での性能評価値の重みづけ和で不確実性を取り扱うDivided Difference Filter法を取り入れ、これらの特性評価を行った。両手法は古典的なモンテカルロ法に比べ格段に効率的であり、それらを形状最適設計に利用する事が可能であることが確認された。 実験技術については、任意の風車ブレード翼の製造を三次元プリンタ及びアクリルブロックの加工から行う事を目指し、両方法の検討を行った。検討の結果、加工精度上はどちらも遜色なく、十分な精度で風車性能の実験計測に用いる事ができる事が示された。また、屋外での実証実験を見据え、屋外実験装置の設計や、市販の発電機を利用した性能評価装置についても整備を進めた。 更に、三次元プリンタによる造形ブレード翼での実験結果を高次精度評価値(真値)とし、数値流体解析により得られる近似性能値を低次精度評価値として両者を効率的に利用した最適設計技術を開発した。これは低コストな数値解析で大まかな傾向を捕えた上で、実験計測により重要形状の実性能を担保する、という発想に基づく設計手法であり、この手法により、数値解析のみにより得られた最適ブレード形状に比べ約8%の性能向上を実現する事ができた。これは実験による性能値情報を最適設計に取り入れる事で風車ブレード翼間での干渉影響などを設計に取り入れる事ができたためであると考えられる。 今後はこれらの開発技術を結び付けていく事により、工学的に有用な設計技術の開発が実現できるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不確実性解析技術については、各種手法の実装及びその特性評価まで実施しており、当初の想定以上に進展している。実験設備については、屋外実験については当初の実験予定地が変更になったため当初の想定からは遅れているが、必要となる実験装置系の設計・整備については順調に進んでおり、おおむね計画通りに研究計画は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
屋外での実験については早期に整備を完了し、屋外実証実験を行える環境を整える。現実的な不確かさについても計測・評価をし、それを設計問題に導入してより現実的な形状最適設計を実施する。得られた最適形状からは、不確かさ影響を低減するためのメカニズムを明らかにして、開発手法の有用性を示す。
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Causes of Carryover |
屋外実験については当初想定していた実験予定地が変更になり、屋外実験用の必要設備の購入を遅れさせている事がその主な理由である。また、ブレード翼の製造方法についても検討を進めた結果、当初の想定よりも安価に製造できる方法を見出す事ができた事も一因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
屋外実験用の必要設備の購入やそれに関わる各種機材の整備に使用する予定である。ブレード翼の製造コストを低減できた事については、その分当初想定よりも多数の設計ブレード翼の製造・実験を行う予定である。また、国際会議・学術論文における成果発表費用に充当する予定である。
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