2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K21048
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
松浦 亮太 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10551278)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 筋疲労 / 中枢性疲労 / 動機づけ / 疲労困憊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、疲労困憊直後における最大随意筋力(MVC)発揮のメカニズムを明らかにするため、動機づけと疲労困憊直後のMVCの関係を検討することが目的である。 今年度(2017年度)は、計画当初の予定を変更し、一定筋力の発揮による疲労困憊直後にMVCを発揮する際、2016年度に実施したものよりも発揮時間の条件の幅を広く設定し、その影響について検討した。また、疲労困憊直後に再び同じ疲労困憊課題を実施し、課題特異性についても検討した。 被験者は健常成人9名であり、30%MVCによる右示指等尺性筋力発揮を疲労困憊まで行わせ(疲労困憊課題)、直後に発揮時間の異なるMVCおよび再度の疲労困憊課題を行わせた。各条件は別日に実施し、条件は5秒、60秒、180秒、再課題の4つとした。 その結果、MVC条件においては全条件で30%MVC以上の筋力(過剰筋力)が見られ、条件間に有意な差は見られなかった。条件間において、疲労困憊課題の継続時間や疲労困憊直後の末梢性疲労には有意な差が見られなかった。再課題においても一定時間の筋力維持が可能であった。再課題条件における疲労困憊課題の継続時間、ならびに疲労困憊直後の末梢性疲労はMVC条件と有意な差が見られなかった。疲労困憊時において、直後の筋力発揮に対する動機づけをVASによって測定したところ、その値は5秒条件>60秒条件=180秒条件=再課題条件であった。 以上から、疲労困憊直後のMVCに見られる過剰筋力は、MVCに対する動機づけでは説明できないことが明らかとなった。また、「任意の課題を継続できなくなる」ことによって生じる動機づけへの特異的な影響も疲労困憊直後の筋力発揮に影響しない可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな課題が生じたために当初の計画とは異なる追加実験を今年度に実施したが、今年度の結果は前年度の結果をサポートする内容であった。これにより、次年度(最終年度)の計画で明らかにしなければいけない点を絞り込むことができたため。加えて、次年度の実験設定に寄与する知見も得られたと考えているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
動機づけの操作による実験の知見を踏まえ、次年度は中枢神経系にかかる負荷を条件とし、動機づけ以外の要因の寄与を検討する。
|
Causes of Carryover |
当初の計画を延長したことにより、延長した分の経費を確保するため。 次年度は被験者に対する謝金、学会参加による旅費、論文作成時の英文校正費、不足している消耗品の補充等に使用する計画である。
|