2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K21051
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
夜久 圭介 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 研究員 (70761865)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | NAD / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
NADは生体内の主要な酵素反応に関わる補酵素として知られているほか、近年抗老化因子であるSirtuinの脱アセチル化反応の基質としても重要であることが明らかとなり、非常に注目を浴びている。またNADの前駆体は動物を用いた研究から、生活習慣病に対する治療・予防効果が期待されている。一方で、NADやその前駆体が細胞内へ輸送される機構についてはよくわかっていない。そこで本研究では、NAD前駆体の輸送機構を解明し、肥満や糖尿病、がんに対する新たな治療戦略の基盤を作ることを目的とした。 今年度は、NADの前駆体のうちトランスポーターの候補が挙げられているNRの輸送機構について検討した。siRNAを用いたヌクレオシドトランスポーターのノックダウンを行い、細胞内へのNRの輸送動態を質量分析計によって測定したところ、ヌクレオシドトランスポーターのノックダウンはNR輸送に影響を与えなかった。 次にsiRNAライブラリを用いたスクリーニングのため、NAD合成酵素の阻害剤(FK866)で細胞死が誘導され、NMNまたはNRの添加によって細胞死がレスキューされる細胞株の選定を行ったところ、文献とは異なりA549細胞ではFK866による細胞死が見られなかった。そこでいくつかの細胞株について同様の試験を行ったところ、HCT116細胞がFK866による細胞死とNMNまたはNRによるレスキューを示すことが明らかになった。また、細胞外でNMNをNRに変換する酵素であるCD73のノックダウン試験と、NR輸送の阻害剤であるdipyridamoleを用いた試験によって、細胞外でのNMNからNRへの変換はNMNの輸送機構に必須ではないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度中にNMNトランスポーターを同定する予定であったが、細胞の選定までに留まっているためやや遅れていると評する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、NAD前駆体のトランスポーターを同定することを目的としている。そこで、初年度に選定した細胞株を用いてNADトランスポーターのスクリーニングを行う。ヌクレオシドトランスポーターのノックダウンがNR輸送に影響を与えなかったことから、NRもNMNと同様のスクリーニングを行う。それぞれのスクリーニングから選ばれたトランスポーターについて機能の確認を行った後、生体における機能の検討へと進む。
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Research Products
(2 results)