2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K21060
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
福永 圭佑 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 研究員 (80639279)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生物発光プローブ / ルシフェラーゼ / 抗体 / 生物発光共鳴エネルギー移動 / 蛍光消光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生物発光プローブを設計・合成する一般的手法を確立することで、様々な生体分子を可視化・計測することである。個々のリガンドに対する受容体タンパク質を機能拡張することでBRETプローブの作製を行う従来の手法とは異なり、高い構造的相同性を有する抗体を母骨格として、汎用性の高いBRETプローブの基本設計・開発を行うのが本研究の特色である。つまり、抗体型のBRETプローブを用いることで、これまでプローブが存在しなかった多種多様な抗原分子の発光計測が可能になることが期待される 本年度は抗オステオカルシン一本鎖抗体のN末端側にルシフェラーゼ・SNAP-tagを融合した人工タンパク質を無細胞タンパク質合成系で調製し、SNAP-ligandを介してアクセプターとなる蛍光色素(TAMRA, Rhodamine Red)を導入した新規BRETプローブの開発を行った。ルシフェリンを添加して発光測定を行ったところ、ドナー・アクセプター双方の発光ピークが観察されBRETが生じている事が確認された。また、抗原であるBGP-C7ペプチドの濃度に依存して僅かにBRET効率が変化したことから、フェルスター距離に変化が生じていると推定された。アクセプターである蛍光色素を直接励起してスペクトル測定したところ、抗原濃度に依存して蛍光強度が変化したことから蛍光消光解消も生じていることが明らかとなった。また、BRETはルシフェラーゼ近傍の蛍光色素に対してのみ生じるため、遊離の蛍光色素が混在した夾雑系においても発光測定が可能であることを見出した。この他、ルシフェラーゼ2種類、セレンテラジン3種類、抗酸化剤の有無に関して検討を行い、安定に発光測定可能な条件を選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規BRETプローブのプロトタイプとしてルシフェラーゼ・SNAP-tag融合型scFvの合成、及び発光スペクトル測定によるモデル抗原(生体分子)のレシオ検出に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
現状ではBRET効率が相当低いため、scFv型BRETプローブの設計(特に蛍光色素の種類、蛍光アミノ酸やバイオ直交性反応などタンパク質タグを使わない蛍光基の導入法)に関して更なる可能性を検討していく。また、発光測定する生体分子のレパートリーを広げる。BRET変化の良好なscFv型BRETプローブが完成し次第、培養細胞を用いたイメージングを試みる。 さらに、IgG抗体の位置選択的蛍光標識・タンパク質(ルシフェラーゼ)ライゲーションによる新規BRETプローブ作製についても検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
夾雑系においても発光測定が可能であることが判明し、スクリーニング用途には精製用担体が必要無くなったため。また、使用する消耗品・受託合成等の見直しにより費用を抑えることが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体、蛍光色素、細胞培養用試薬のほかディスポーザブル器具など消耗品の購入に費用を充てる。
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